【11月1日 AFP】カンボジアで少女のころに行方不明になり、18年後の2007年にジャングルで暮らしているところを発見されたロチョム・プニン(Rochom P'ngieng)さんが、食事を拒否して病院に搬送されたという。プニンさんの父親と医師が10月30日、語った。

 プニンさんの密林生活をめぐっては、プニンさんの本当の正体や、18年間ジャングルで生き延びた方法などについて疑問視する声があがっていた。そして今回、父親が医師の忠告を無視してプニンさんを退院させたことから、新たな展開を迎えている。

■18年間ジャングルで生き延びた「半動物少女」

 プニンさんは1989年、プノンペン(Phnom Penh)北東610キロの密林で水牛の番をしているときに行方不明になった。そして2007年に、全身汚れた全裸姿で農家の食物を盗むために姿を現わしたところを発見された。

 プニンさんは、密林で乾燥した米粒を探し回ったために、サルのように前かがみな姿勢になっていた。また、明りょうな言語を話すことができず、プニンさんの父親と主張するSal Louさんによると、「動物のような音」をたてていたという。

 カンボジアでプニンさんは「ジャングルウーマン」や「半動物少女」などと呼ばれている。

■健康悪化から入院

 Sal Louさんは30日、AFPの電話取材に対し、プニンさんが26日に地元の州立病院に入院したと語った。

「約1か月にわたって米を食べるのを拒否しており、今はとてもやせ細っている。今も言葉を話すことはできない。まるでサルのような行動をする。きのうの夜は、衣服を脱いで、トイレに逃げ込んでしまった」(Sal Louさん)

「ジャングルから連れ戻した時よりも健康状態が悪化している。いつでも、衣服を脱いでジャングルに逃げ込もうとしている」

■医師の忠告を無視して退院させる

 しかしその後の電話取材で、Sal Louさんは病院からプニンさんを連れ帰ってきたと語った。病院では逃亡を阻止するのが難しかったためだという。Sal Louさんは「(病院では)いつも手をつかんでいる必要があった。そうしないと、衣服を脱いで逃げ出してしまうから」と語った。

 ラタナキリ(Ratanakkiri)州立病院のHing Phan Sokunthea医師は、Sal Louさんが医師の忠告を無視して病院からプニンさんを退院させたと述べる。Sokunthea医師は、「(プニンさんの)健康状態をもう少し観察したかった。とはいえ、父親がプニンさんを退院させてしまったので、もはやわれわれにはどうすることもできない」と語った。

 Sal Louさんは、慈善団体にプニンさんの世話を引き継いでもらうよう要請するつもりだと語った。(c)AFP