【10月14日 AFP】世界の妊娠中絶率と「望まない妊娠」の比率が減少する一方で、危険な中絶手術により、発展途上国などで毎年7万人の女性が死亡している。米民間団体「Guttmacher Institute」が13日発表した。

 ロンドン(London)で同団体が発表した報告書「Abortion Worldwide: a Decade of Uneven Progress(世界の妊娠中絶:不均等な進展)」によると、中絶件数は、1995年の4550万人から2003年の4160万人に減少した。

 しかし一方で、特に発展途上国で多くの女性が危険な妊娠中絶出術を受けているという。

 報告書の推計によれば、危険な中絶手術で毎年7万人の女性が死亡し、500万人の女性が合併症で治療を受けている。また、合併症を発症したものの治療を受けることができないでいる女性がさらに300万人いるという。

 Guttmacher Institute代表のシャロン・キャンプ(Sharon Camp)氏は、大半の先進国では中絶が安全かつ合法だが、「多くの発展途上国では、中絶は厳しく制限されており、また、危険な中絶手術が一般的」であるとして、「女性の健康が損なわれ、生命が脅威にさらされる状態が続いている」と述べた。

 また、報告書によると、世界の女性の40%が妊娠中絶を「厳しく制限する」法律のある国で暮らしているが、そういった法律を持つ国のほとんどが発展途上国だという。妊娠中絶を完全に違法化している国は32か国あった。

 報告書は、「法的制限は妊娠中絶を止めることはできない。中絶手術を危険にしているだけだ」と述べ、「合法な中絶手術を受けられないためにあまりに多くの女性が毎年、重傷を負ったり死亡している」と警告した。(c)AFP