【9月4日 AFP】南アフリカの白人男性が、黒人から迫害を受けたと主張してカナダの移民政策当局に行った難民申請が2日承認され、両国で議論を巻き起こしている。南アフリカ政府は決定の見直しを要請。これを受けてカナダ移民省は3日、決定を連邦裁判所に諮ることを決めた。

 男性は、ケープタウン(Cape Town)生まれのブランドン・ハントリー(Brandon Huntley)さん(31)。南アフリカで黒人から7回襲撃された経験を持ち、うち3回はナイフで刺された。いずれも金品を奪う目的での犯行だったが、犯人たちはハントリーさんに「ホワイト・ドッグ」「移住者」などの罵声を浴びせたという。

 ハントリーさんは「肌の色のせいで狙われた」とし、身の危険があるとしてカナダ当局に難民を申請した。だが、襲撃について南ア警察には一度も通報しておらず、同国政府に訴えてもいない。これについてハントリーさんは、「南ア政府と話したくはない」と述べている。

 これに対し、南ア政府与党のアフリカ民族会議(African National CongressANC)は、白人だから狙われたというハントリーさんの主張は「センセーショナルで驚くべき」ものだと表明。「ハントリー氏の申請を認めた際に提示された理由は、継続的に人種差別待遇を受けている被害者にのみ適用されるものだ」と述べた。また、南ア政府も、「南ア社会の現実を理解していない」として、カナダ当局に見直しを求める意向を示していた。

 ハントリーさんは、南アフリカに住んでいる家族への報復を恐れ、詳細は語っていないが、今日の南アフリカ社会が抱えている問題について「人々を開眼させた」と話している。(c)AFP