【8月21日 AFP】インド中部の村に伝わる約100年の歴史を持つ祭りが20日、当局の介入で開催直前に中止されることが決まった。川を挟んだ2つの村の住民が石を投げつけ合うというこの祭りでは、負傷者はもちろん、死者が出ることもたびたびあったためという。

■こぶし大の石も飛び交う祭り

 インド・マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州のSaargaon村とPandhurhna村では毎年、太陰暦に従って8-9月にこの「石投げ」祭りを開催してきた。

 祭りでは、2村を隔てる川を挟んで、住民らが小石やときに拳大もの石を投げつけ合い、激しくやじを飛ばす。ヒンズー教の女神ドゥルガー(Durga)への祈りが大声で捧げられ、石が飛び交う中、双方の男たちは川の中央に生えた木の頂上に掲げられた旗を奪い合うのだ。旗をとった側の村が勝者となり、その後、祭りに参加した数千人の住民たちはそろって寺院へ行き、傷が早く直るよう聖なる灰を塗って祈る。

 祭りの起源は定かではない。地元では、かつて川の両側に別れて暮らしていた若い男女が駆け落ちを試みたが、怒った両村の住民が石を投げ合い、若いカップルは死んでしまったとの民話に基づくとの説が有力だ。

■死傷者続出、でも住民は・・・

 前年の祭りでは1人が死亡、400人以上が負傷した。最も被害が大きかった1989年には4人が死亡している。

 今年の祭りは21日に予定されていたが、地元当局は直前になって開催を禁止した。州の人権当局者が祭りを「非人道的な犯罪行為」だと表したためで、「伝統の名の下に石を投げ合って傷つけ合う行為が行われているが、たとえば(死亡した夫の火葬の炎で殉死する)『サティー(Sati)』という伝統は禁止されている。この祭りも同じだ」と地元当局者はAFPに語った。

 ただ、全ての住民が禁止令に従うかは分からないそうだ。2001年と02年には石の代わりにゴムボールを使う試みが行われたが、住民側が使用を拒否したという。(c)AFP/Sonma Luxmi