【8月3日 AFP】中国・上海(Shanghai)で開催された同国最大のビデオゲーム博覧会「ChinaJoy」のコスプレ大賞のステージでは、激しい音楽とともに若い1人の女性兵士とがい骨軍団との戦いが繰り広げられていた。

 日本発の「コスプレ」は、今や中国でも大人気。ファンタジーを求める若者たちが、お気に入りのビデオゲームやアニメキャラクターの扮装(ふんそう)で舞台で仮想現実の世界を展開する。「ChinaJoy」主催者によると、今回の来場者は2万人を超えた。

 23歳のZhao Jingさんは36人のチームを率いて杭州(Hangzhou)から参加した。「Soul of the Ultimate Nation」と題した12分間のパフォーマンスのため数か月間、毎日3-5時間も練習した。毎年3月から8月は各地のコスプレ大会に出場するため彼女はこの7年間、フルタイムの仕事に就いていないという。
 
 こうした努力が実って、ツァオさんのチームは前年、愛知県で開かれた世界コスプレサミット(World Cosplay Summit)の中国代表に選ばれ、参加した14チーム中2位を獲得した。

 国内のコスプレ大会の優勝賞金は1万元(約14万円)だが、国際大会の賞金は10万円だという。前年600ほどだった国内の大会数は今年は1000に増えた。

「普通の女の子たちはショッピングやおしゃれなバーに行くのが好きだけど、わたしはアニメを見たり、お気に入りのキャラクターを演じる方が好き」とZhaoさんはいう。

 こうした女性は増えているようだ。今年のChinaJoyのコスプレ大会の参加者数は女性が男性を大幅に上回った。Zhaoさんのチームでもゾンビやがい骨軍団を演じるメンバーの半数以上が女性だ。

 しかし大会の楽屋で青いかつらをつけようとしていた陝西(Shaanxi)省出身の芸大生Tian Jingさん(22)によると、全ての女性がコスプレに興味があるというわけではない。

 「コスプレなんて時間とお金の無駄だと言われます」と笑う。そんな時はコスプレを通じて忍耐や創造力などが身につくと言うのだという。

 コスプレの舞台に立つ若者たちは、まず自身が演じるキャラクターを選び、その衣装や身に着ける小物、しぐさの特長などを綿密に研究する。映画スタジオ顔負けの高い完成度に仕上がることも多い。

 コスプレのチームは1-2人の少人数から100人にのぼる場合もある。審査対象は、衣装のほか小道具、演出、観衆の反応なども含まれる。

 コスプレ大賞の審査員の1人は、中国でのコスプレ人気について、「中国の教育制度では中学生や高校生がアニメに関心を持ってもその関心を育てる時間がない。しかし大学に入れば、いまはどの大学にもアニメサークルがあるので、アニメに時間やお金を費やすことができるようになる」と話した。(c)AFP/D'Arcy Doran