【7月25日 AFP】まったく顔を見せずに274人のライバルを退けビューティー・コンテストで優勝し、王冠や賞金、宝石、マレーシア旅行を獲得――。そんな嘘のような話がサウジアラビアのある女性の身におこった。同国メディアが24日伝えた。

 保守的なイスラム教国として知られるサウジアラビアのAya Ali al-Mullaさん(18)は23日、「Queen of Beautiful Morals(心の美しい女王の意)」と題されたコンテストで優勝した。

 Ayaさんは頭からつま先までを「アバヤ」と呼ばれる黒いローブですっぽり包んでコンテストに参加。水着やイブニングドレスでの審査もなければ、優勝者決定の瞬間でさえ、マスコミが押し寄せることもなかった。

 決勝に進出した上位3人は3か月にわたり、両親や家族、社会への忠誠を試された。具体的な審査内容は明らかにされていないが、日刊紙アルワタン(Al-Watan )によれば「個人的、文化的、社会的、心理学的なテスト」が含まれていたという。

 優秀な成績で高校を卒業し、医学分野に従事するのが夢だというAyaさんは賞金5000リヤル(約12万6000円)のほか、真珠のネックレス、ダイヤの時計、ダイヤのネックレス、マレーシア旅行を手にした。

 2位に入賞した三つ子の女性(20)は教育省主催のコンテスト「I love you, my country(好きです、わたしの国の意)」での優勝経験がある。3位の女子高校生(15)は、母親の勤務地が自宅から遠く週末しか帰宅できないため、平日は家事をして家族の面倒をみている。

 女性は親族以外の男性と接触することを禁じられ、公衆の面前に出るときは全身を隠さなければならないサウジアラビアには、見た目の美しさを重視するビューティー・コンテストは存在しない。今回のコンテストの主催者も、「内面の美しさ」に審査の重点を置いている。(c)AFP