【6月20日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)は19日、世界的な金融危機と食糧価格上昇の影響で、世界の慢性的な栄養不足の人の数が前年から1億人以上増え、過去最高の約10億2000万人になると予測した報告書を発表した。

 アジア太平洋地域で6億4200万人、アフリカ大陸のサハラ砂漠以南で2億6500万人、ラテンアメリカとカリブ海地域で5300万人、中東と北アフリカで5200万人だとしている。うち途上国の栄養不足の人は1500万人だという。この報告書では栄養不足の人の数は2009年に11%増加すると予測されている。

 記者会見したFAOのジャック・ディウフ(Jacques Diouf)事務局長は、1年間の増加幅としては過去最悪で、人類の6人に1人は十分な食糧を得ることができていないと述べた。

 また7月にイタリアで主要8か国(G8)首脳会議が開かれることをふまえ、ディウフ事務局長は食糧安全保障は世界的に緊急にとりくむべき政治の問題だと指摘し、農業部門への投資拡大を訴えた。

 記者会見に同席した世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)のジョゼット・シーラン(Josette Sheeran)事務局長は、過去2年間に食糧不足が原因でいくつかの途上国で発生した発生した暴動について語り、「空腹な世界は危険な世界だ」と警鐘を鳴らした。(c)AFP

【参考】FAOのサイト(英語)