【3月9日 AFP】過激な性表現のある歌詞は、10代の若者がセックスを始める年齢を引き下げる効果があるのだろうか?――新たな研究報告がこの問題を提起したことで、10代の音楽プレーヤー所持の危険性やその対処法などをめぐって激しい議論が巻き起こるかもしれない。

 米ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の研究チームは、米ビルボード(Billboard)の音楽ヒットチャートに登場する人気ミュージシャンらの歌詞を、性表現の過激さの度合いに応じて格付けした。

 さらに研究チームは、地元の3高校に通う15-16歳の学生711人から、音楽の好みと性行動を聞き取り調査した。

 性行為の経験がある学生は全体の31%だった。

 しかし、過激な性表現のある歌詞にほとんど触れたことのないグループの学生では、セックス経験者は20.6%にとどまる一方、過激な性表現の歌詞をよく聞くグループの学生では、経験者は44.6%に上った。

 この研究の主執筆者、ブライアン・プリマック(Brian Primack)氏は、音楽について、セックスの引き金ではないものの、セックスに対する認知を形成するのに役立っており、性的な発育における「1つの要素になる可能性がある」と述べた。

 プリマック氏は、AFPに対し「これらの歌詞では頻繁に、積極的な男性が従順な女性を征服する様子が描かれている。思春期の若者が、こういった『物語』を自分の世界観の中に組み入れることにつながる可能性もある」と述べた。この研究では、社会的な要因や学校での成績、人種なども考慮に入れたという。

「下品でない」歌詞では、セックスは具体的な描写を用いずに説明され、また、セックスが相互の合意に基づくものとして描かれていた。しかし、「下品な」歌詞では、性行為が具体的に描写され、また、セックスを支配の行為として描いていた。

 米国では毎年75万人の10代女子が妊娠する。同報告書によると、これは先進国の中では非常に高い比率だという。(c)AFP/Jennifer Carswell