【3月4日 AFP】更年期後の女性の妊娠・出産を成功させて物議をかもしたイタリアの婦人科医セベリノ・アンティノリ(Severino Antinori)氏が、4日発売の週刊誌「Oggi」掲載のインタビューで、これまでに3人のクローンベビーを誕生させたことを明らかにした。

 同氏によると、ヒト・クローン技術で誕生した赤ちゃんは、男の子2人、女の子1人で、いずれも健康な状態で生まれた。3人とも現在9歳で、東欧に暮らし、健康状態は良好という。

 同氏は本件に関する証拠は提示しなかったものの、「無精子症(不妊)の男性3人の細胞で、クローンを作成した。女性の卵細胞を『核移植』と呼ばれる手法により、研究室で受精させた」とし、「これ以上は、家族のプライバシーの問題もあり、申し上げられない」と続けた。

 使用した手法は、1996年にクローン羊「ドリー(Dolly)」の誕生に成功した際に使用された技術を「改良」したものだという。

「カトリックの影響が強いイタリアでは、クローン人間の作製は禁止されているのでは」との質問には、「クローンのことより、革新的な治療法や遺伝子記憶のことを語りたい」とかわした。

 アンティノリ氏は1994年、63歳の女性の妊娠・出産を成功させ、一躍有名になった。2週間前には、夫が脳腫瘍で昏睡状態に陥っているという女性を人工的に妊娠させる試みを発表し、激しい議論を呼んでいる。成功すれば、この種の事例としてはイタリア初となる。(c)AFP