【2月13日 AFP】歯周病が原因で口内に作り出される酪酸が、エイズウイルス(HIV)を活性化させエイズ発症につながる可能性のあることを、日本大学(Nihon University)歯学部の落合邦康(Kuniyasu Ochiai)教授が12日、明らかにした。これまでの研究では、歯周病が糖尿病や心臓疾患に関係することが分かっていたが、HIVを活性させることが判明したのは世界で初めてだという。

 落合教授によると、歯周病菌は歯と体全体に危険を及ぼす。歯周病菌によって作り出される大量の酪酸は、長時間履いていた靴下のような臭いがし、HIVの増殖を抑えている「ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)」と呼ばれる酵素の一種を妨げるという。

 試験管での実験では、歯周病菌および酪酸を含んだ培養液を与えると、免疫系に関わる2種類の細胞でHIVが急速に増殖することが判明したという。

 落合教授は、個人の体力によるところが大きいが、HIV感染者は重症の歯周病になると(エイズを)発症する可能性があると指摘。また、HIVに感染していると気づいていない人びとも、歯周病になるとエイズを発症する恐れがあるとして、口内健康の重要性を強調した。

 研究については、米専門誌「Journal of Immunology」3月号で発表される。(c)AFP