【1月28日 AFP】(一部更新)ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を2度受賞した米国の作家、ジョン・アップダイク(John Updike)氏が27日、マサチューセッツ(Massachusetts)州で肺がんのため死去した。76歳。出版大手のアルフレッド・A・クノッフ(Alfred A. Knopf)社が伝えた。

 アップダイク氏は米国で最も多くの作品を残した作家の1人というだけでなく、この作家が米国の一部であると同じように、米国がその作品の一部だった。

 ウェブサイトの「ザ・サロン(The Salon)」は、インタビュー記事の中で「アップダイクは、あたかも別の時代からやってきた影が、現代文学の上を飛翔しているかのごとき作家、アメリカ文学最後の巨人かもしれない」と書いている。

 半世紀にわたる作家生活の中で、『走れウサギ(Rabbit, Run)』で始まる「ウサギ」シリーズなどを残し、ピュリツァー賞を2度受賞。誰もが知る作家となった。

 詩作もしたアップダイク氏の作品は叙情的で、読みやすかった。25作の小説に加え、少なくとも12作の短編集と、100点以上の短編、詩、文芸批評を発表し、米誌ニューヨーカー(New Yorker)には書評も寄せた。

■思索的な人生の出発点

 アップダイク氏の関心は幅広かったが、基盤となったのは第二次世界大戦後の経済成長の中で経験した地方の暮らしだった。

 アップダイク氏は、ペンシルベニア(Pennsylvania)州の農場で過ごした病弱な子ども時代のおかげで、思索的な人生が送れたと話したことがある。

 アカデミー・オブ・アチーブメント(Academy of Achievement)によれば、「アップダイク氏は乾癬と吃音症を患っていたため友だちと一緒に遊ぶことはできなかった。執筆に慰めを見出し、ハーバード大学(Harvard University)に奨学生として入学したという。

 大学では有名な風刺雑誌「ランプーン(Lampoon)」の編集をするようになり、卒業後すぐにニューヨーカー誌で詩や小説を発表した。

 1958年には詩集『The Carpentered Hen and Other Tame Creatures』を発表。デビュー小説『プアハウス・フェア(The Poorhouse Fair)』は好評で、次に発表した『走れウサギ』はさらに評価が高かった。

『走れウサギ』の主人公ハリー・アングストローム(Harry Angstrom)の性的行動の描写は当時としては衝撃的だったが、修正を加えると幅広い支持を獲得した。その後に印刷された『走れウサギ』では、当初の表現に戻されている。

■一貫したテーマ

 祖父がキリスト教長老派教会の牧師だったアップダイク氏は、宗教的信念が強かった。人間の存在における「3つの偉大な神秘」を、性、芸術、宗教だと言ったことがある。

 こうしたテーマは、喜劇的な要素、米国東海岸という舞台設定と共に、1968年の『カップルズ(Couples)』や1984年の『イーストウィックの魔女たち(Witches of Eastwick)』など、アップダイク氏の作品のいたる所に見られる。ロードアイランド(Rhode Island)州の小さな町と魔女、性を描いた『イーストウィックの魔女たち』は、ハリウッド(Hollywood)で映画化された。

 2008年には、『イーストウィックの魔女たち』の続編で、アップダイク氏最後の小説となった『The Widows of Eastwick』が発表された。(c)AFP