【12月30日 AFP】(写真追加)メキシコの空の玄関、メキシコ市(フアレス)国際空港(Benito Juarez International Airport)に3か月以上にわたって住み込んでいた日本人旅行者の男性が、夜は空港のフロアで眠り、食事は空港内の高級レストランで取り、一躍「人気者」となった後に女性と一緒にタクシーに乗ってこつ然と消えて話題を集めている。

 メキシコ市(Mexico City)にある同空港のスタッフらによると、この男性の名前はノハラ・ヒロシ(Hiroshi Nohara )さん。ブラジルへ向かおうとしていたが乗り継ぎ便を逃し、東京へ戻る航空券も持っていたようだが、なぜかこの空港に住み着くことを決意。計117日間を過ごすうちに、ほかの旅行客もひと目見たがるほどの有名人となった。

 空港内のカフェテリア「シナモンロール」に勤めるアナ・エレナ・ルイスさんは29日、「みんな、彼は失恋したんだと言っていた」と語った。ノハラさんは背が高く、礼儀正しくいつもほほ笑んでおり、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の映画『ターミナル(The Terminal)』(2004年)で空港に住み着く男を演じるトム・ハンクス(Tom Hanks )さんを思わせたという。ルイスさんはだんだんノハラさんのことが「好きになっていった」とも告白した。

 メンテナンス職員のアレハンドロ・ガルソンさんは「彼はそのへんで寝てトイレも(体を洗うために)使ってた。毎日レストラン・エリアで過ごしてた」と証言した。

 匿名で取材に応じた警官は、ノハラさんには「書類的な問題もなく、空港で寝泊まりすることをやめさせる法律もメキシコにはないため、追い出すわけにもいかなかった」と語った。

 しかし、ノハラさんは28日、9月上旬に現われた時と同じように謎を残して、女性1人と一緒にタクシーに乗ってどこかへ去って行ったという。

 前述のルイスさんは「その日の朝に女性がやって来て、彼を連れて行ったけれど、2、3日街を一回りしているんじゃないかしら。彼はすぐに帰ってくると思う。わたしたちの誰にもさようならを言っていないから」と語った。(c)AFP