【12月22日 AFP】英語では「hangover」、フランス語では「la gueule de bois(木の口)」、ドイツ語では「Kater(雄猫)」、日本語では「二日酔い」――。どこの国であろうと何語であろうとつらいことには変わりないこの症状の解消法をめぐっては、古代からさまざまな提案がされてきた。

■どれが効く?さまざまな「特効薬」

 ローマ時代の大プリニウス(Pliny the Elder)に言わせれば、ふくろうの生卵が効果覿面(てきめん)。エリザベス朝の英国では、生きたままワインに漬け込んだウナギ2匹が特効薬ともてはやされ、ウナギが苦手な人には代用品としてアオガエルが勧められた。また、19世紀の煙突掃除人は暖かいミルクにスプーン1杯の煤(すす)を入れて飲んでいたといわれる。

 現代ではどうか。

 インターネット上には、揚げ物や迎え酒に始まり、「アスピリンとバナナ」、「ベジマイト(Vegemite)と水」、さらには植物エキスを使った高価な商品まで、無数の「特効薬」の紹介があふれている。二日酔いの朝、これらの特効薬はまさに天の助けとも見えるだろう。

 ただし、これらの特効薬は「解消してくれるという願望」に裏打ちされたものに過ぎない。英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」最新号に掲載された医師らの見解は、「こうした解消法に科学的根拠はない」というにべもないものだ。

■二日酔い解消法の検証実験

 2005年、英国とオランダの医師によって、二日酔いの解消法に関する「客観的検証に基づく唯一の実験」が行われた。

 実験では、医薬品3種類、栄養補助食品4種類、果糖の全8種類の二日酔い解消法が検証された。医薬品はトルフェナム酸と鎮痛剤、吐き気や目まいに効くプロプラノロールとトロピセトロンと呼ばれるベータ遮断剤が使われた。栄養補助食品は、乾燥酵母、ルリジサ、グローブ・アーティチョーク、ウチワサボテンから製造されたものが使われた。

 被験者は無作為の2グループに分けられ、一方は薬を、もう一方は偽薬を服用した。

 ルリジサと乾燥酵母、トルフェナム酸の3つは、多くの被験者で症状の改善などの効果が見られた。また、以前の研究から、ウチワサボテンも効果があることが判明した。しかしそれ以外は、二日酔いの予防・解消に効果があるとの「決定的な証拠」は見つからなかった。

■最善策は深酒をしないこと

 専門家らの結論は、つまりこうだ。二日酔いを避けるには、飲酒をしない、あるいは飲んでも適度な酒量に抑え、脱水症状を防ぐために水や食事を一緒にとる、といった方法しかない。

 ちなみに、英政府が04年に発表した推計によると、英国では二日酔いなどアルコール由来の欠勤で生じる経済損失は、年間18億ポンド(約2400億円)に上るという。(c)AFp/Richard Ingham