【12月19日 AFP】世界的な景気後退の影響で、失業率が欧州で最も高い水準にまで悪化したスペインだが、今年も多くの人が同国のクリスマス恒例の宝くじ「エルゴルド(El Gordo)」を買い込んでいる。

 宝くじへの根強い需要は、懐事情の厳しい消費者がクリスマスの買い物リストから宝くじを外したため、くじの売り上げが著しく伸び悩んでいる他の欧州主要国の状況とは正反対だ。

 2007年にはスペイン人の5人に4人がエルゴルドを購入したと推計されている。1人当たりの平均購入額は64ユーロ(約8000円)で、総売上は28億7000万ユーロ(約3600億円)に上った。政府の宝くじ委員会は、不況にもかかわらず今年もほぼ同様の売り上げを予測している。

■エルゴルドの人気の理由は?

 しかし、なぜ?同委員会によると、理由の1つに強く根付いている「伝統」が挙げられる。エルゴルドの歴史は1812年にまでさかのぼり、スペインのクリスマスシーズンの風物詩として深く定着しているという。

 また、エルゴルドは毎年クリスマス3日前の12月22日に抽選が行われるが、この宝くじはクリスマス直前にできるだけ多くの人に「臨時収入」が入る仕組みになっている。購入者の70%もの人が当選できるようになっており、社会事業費を得るために実施される他の公共の宝くじと比較して当選者数がはるかに多い。2少数の人に大金が当たるのではなく、20ユーロ(約2500円)分の金券から1等の30万ユーロ(約3800万円)まで、非常に多くの当選くじがある。

 今年の当選くじは約2600万本で、当選総額は10年前の約2倍の23億2000万ユーロ(約3000億円)だという。個人の当選額がエルゴルドより高額のくじはほかにもあるが、専門家らはその当選総額からエルゴルドを世界最高額の宝くじと位置づけている。(c)AFP/Daniel Silva