【12月4日 AFP】米ニューヨーク(New York)の大衆紙デーリー・ニューズ(Daily News)紙は3日、偽造書類を使って同市の名物エンパイアステートビル(Empire State Building)を一時的に丸ごと「乗っ取った」と報じ、同市の資産登記制度のずさんさを指摘した。

 デーリー・ニューズ紙は、市に偽の登記書類を提出し、102階建てのアールデコ様式の代表的建造物である同ビルを入手したと報じた。

 おまけに偽の書類では、恐慌時代の伝説的な銀行強盗ウィリー・サットン(Willie Sutton)と映画『キングコング(King Kong)』のオリジナル版でさらわれるヒロインを演じた女優フェイ・レイ(Fay Wray)の名前が使われた。

「乗っ取り」状態だったのは約90分間で、その後は所有者であるエンパイア・ステート・ランド・アソシエイツ(Empire State Land Associates)に無事戻されたという。

 同紙では「こうした壮大な詐欺がまかり通るとは、証書や抵当、不動産取引などに関するニューヨーク市の制度に大きな抜け穴があるということだ」と批判している。

「もちろん、エンパイア・ステート・ビルが盗まれたまま長時間、気づかれずにいることはありえないだろうが、もっと目立たないビルならば、詐欺師が所有者からいきなり盗むのは簡単だろう。偽の証書を持って不動産を乗っ取り、高飛びしてしまうことは可能だろう」と同紙は警告した。(c)AFP