【12月2日 AFP】米国で、うそをついたり、カンニングや万引きをする10代の若者が著しく増加していることが、1日に発表された非営利団体の調査結果で明らかとなった。

 米ロサンゼルス(Los Angeles)に本部を置く、社会倫理の改善を目指すNGO「ジョセフソン・インスティテュート(Josephson Institute)」は、全米約2万9760人の中学・高校生を対象に思考態度や行動に関する調査を実施し、その結果を報告書「Report Card on the Ethics of American Youth(米国の若者の倫理観に関する通信簿)」2008年版にまとめた。

 これによると、うそやカンニング、万引きに関する質問に対する学生らの回答から、すでに不誠実な言動が習慣化している現実が浮かび上がり、こうした若者らが将来、親になったり、政治家、警察官、企業経営者、ジャーナリスト、軍将校などの要職に就くことへの懸念を提示している。

 調査結果では、うそや万引き行為は、女子学生よりも男子学生に多くみられた。また、過去1年以内に万引きしたことがあると回答した学生は全体で30%と2006年から2%上昇。男女別では、男子が35%、女子が26%だった。

 圧倒的に「ある」との回答が多かったのは、重要なことについて親にうそをついたことがあるかとの質問だ。公立学校および私立の宗教系学校では83%、私立の非宗教系学校で78%が「ある」と答えた。

 カンニングについては、06年調査時の60%から上昇した64%が経験があると答えた。このうち2回以上カンニングを行ったのは38%だった。男女間で大きな差はなかったが、カンニング率が低いのは非宗教系私立校で47%。一方、宗教系私立校では63%だった。

 報告書は、カンニングは今後もまん延を続け、状況はさらに悪化する見通しとしている。

 報告書によると、回答した学生の26%が、この調査で少なくとも1問か2問はうそをついたことを認めている。こうした調査結果が示すように、不誠実行為の深刻度に対する若者らの罪悪感の欠如にも、報告書は警鐘を鳴らす。

 しかし、驚くべきことに、回答学生らは、不誠実行為を重ねているにも関わらず、倫理観に関する自分のイメージを非常に肯定的にとらえている。対象学生の約93%が、自分の性格や倫理観に満足していると回答。77%が「知人よりも、自分の行いは正しいと思う」と答えている。(c)AFP