【11月25日 AFP】第2次世界大戦中の1943年、当時のポーランド亡命政府首相で最高司令官、ヴワディスワフ・シコルスキ(Wladyslaw Sikorski)将軍が飛行機事故で死亡した事件について、旧ソ連による暗殺との説を再調査するため、遺体を発掘して異例の調査が行われる。

 シコルスキ将軍の遺体は25日、ポーランド南部クラクフ(Krakow)にある墓地から発掘された。検察官立ち会いのもとで検視が行われる。

 社会主義時代の政治犯罪などを調査・訴追するため、98年にポーランドで発足した国民記録機関(IPN)は今年9月、シコルスキ将軍の死に関する調査を開始した。

 クラクフにあるヤギロニアン大学(Jagiellonian University)の法医学者Malgorzata Klys氏は、AFPに対し「(最初の)検視は12時間はかかる。何が明らかになるかは分からない。事故死と暗殺という2つの説について検証する」と述べた。結果は1か月以内に出るだろうという。

 シコルスキ将軍は第2次大戦中、1939年にナチス・ドイツ(Nazi German)に続きソ連がポーランドを侵攻すると、亡命先の英ロンドンから亡命政府を率いたことから、同じくロンドンからナチスへの抵抗をフランス国民に呼び掛けた故シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)仏大統領とよく比較される。

 シコルスキ将軍は1943年7月4日、イベリア半島最南端の英領ジブラルタル(Gibraltar)から搭乗した英空軍機が、離陸して数分後、海上に墜落し死亡した。62歳だった。

 事故後、同機の搭乗者17人中唯一生き残ったチェコ人パイロットは、英空軍の調査に対し、飛行制御が妨害されたと語っていた。(c)AFP/Jonathan Fowler