【10月27日 AFP】南アフリカ観光といえば、サファリや手つかずの大自然が思い浮かぶが、「ちょっとした美容整形」が目的の観光客が年々増えている。

 54歳の高校教師、ジョイさんは、ロンドンから12時間かけて南アフリカにやってきた。ヨハネスブルク(Johannesburg)の私設診療所で、腹部の脂肪除去および鼻とまぶたの整形手術を受ける予定だ。価格は約15万4000ランド(約130万円)。「ネットでいろいろ調べた結果、値ごろ感と、回復するまでゆっくり観光を楽しめる点で、南アフリカが最適だと判断したの。帰国したとき、日焼け以外の変化にも気付いてもらえるかしらと考えるだけでも楽しいし」

 美容整形とサファリ旅行をセットにした「メディカル・サファリ」は人気を博しつつあると、ヨハネスブルクの医療観光会社「サージャンアンドサファリ(Surgeon and Safari)」の創設者、ロレイン・メルヴィル(Lorraine Melvill)氏は言う。整形術が欧州の病院並みの水準であることが大きな理由だという。術後の回復期に観光を楽しむことができ、包帯が取れてから帰国できるというのも魅力だ。

 南アフリカではリーズナブルな値段で高度な専門医療を受けられるという評判は、1990年代半ばから徐々に高まっている。国内に複数ある医療観光会社の利用客は、海外・国内を問わず増え続け、医療観光分野で先行するインド、マレーシア、ブラジル、タイ、コスタリカに肩を並べるまでになっている。「南アフリカは欧州からは遠いという難点はあるが、わが社の医療サービスやパッケージ内容は(わざわざ足を運ぶだけの)価値がある」とメルヴィル氏。

 同氏によると、希望者は事前に詳細な医療相談を受ける。旅行代金には往復旅費、ビザ代、宿泊費、施術費が含まれる。欧州の利用客の多くが、宿泊先に、サファリも楽しめる5つ星の豪華ロッジを選ぶという。

 実入りの良いこうした医療観光の興隆は、医師や看護師の一般医療離れを促進するとの指摘もあるが、メルヴィル氏は「医療観光は南アフリカの重要な産業になりつつあり、医療施設が不足するアフリカ各国からの利用客も多い」と将来を楽観する。(c)AFP/Sibongile Khumalo