【10月21日 AFP】発展途上国を含めたほぼすべての大陸にまたがる大規模な調査で、油分や塩分が多く含まれた食品を多く摂ると心臓病のリスクを高め、果物や青物などの野菜を多く摂ると心臓病のリスクが減ることがこのほど確認された。

 1999-2003年に心臓病患者と健常者1万6000人を対象に行われた食生活調査「INTERHEART」は、今回初めて発展途上国を調査対象に含めた。対象国は、南米、北米、西欧、東欧、中東、サハラ以南のアフリカ、南アジア、東南アジアと、ほぼすべての大陸にまたがる。

 調査は、健康に良い成分や良くない成分を含む19の食品群について、「どの程度摂取するか」を回答してもらうという方法で行われた。対象の食品群については、それぞれの国の嗜好に合わせて調整した。

 その結果、国に関係なく、揚げ物、塩分が多い食品、卵、肉など「欧米風」を好む人では、揚げ物や肉をほとんどまたは全く摂らない人に比べて、心臓病リスクが35%高いことがわかった。

 また、青物などの野菜や果物を多く摂る人は、ほとんどまたは全く摂らない人と比べて、心臓病リスクが30%低いことがわかった。

 さらに、豆腐やしょうゆなど「和風」の食品を好む人では、心臓病リスクにほとんど影響がないことも判明した。一方、一部の食品にはビタミンや抗酸化物質など心臓病リスクを軽減する物質が含まれているものの、しょうゆなどにはその効果を相殺するだけの高い濃度の塩分が含まれていることも、研究は指摘している。

■途上国で増えつつある心臓病

 調査を主導したカナダのマクマスター(McMaster University)大学医学部のサリム・ユスフ(Salim Yusuf)教授は、これまでの研究が主に先進国を対象に行われていただけに、対象をほぼすべての大陸に広げた今回の研究は「画期的」だと言う。

 教授によると、心臓病患者は、25-30年前までは欧米諸国に多かったが、今や途上国において増え続け、世界の心臓病患者の80%は最貧国や貧困国の住民だという。欧米型の食事を摂る人が世界中に増えつつあることが、理由の1つに挙げられるという。

 研究の詳細は、20日に発行された米国心臓協会(American Heart Association)の学術誌「Circulation」に掲載されている。(c)AFP