【10月9日 AFP】世界初となる両腕の移植手術を受けたKarl Merkさん(54)が8日、ドイツ南部のミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)付属病院で、担当医師らとともに会見した。

 Merkさんは両腕が戻ったことについて「言葉では言い表せない」と気持ちを語った。

 酪農家のMerkさんは6年前に仕事中の事故で両腕を失い、今年7月25日から26日にかけて両腕の移植手術を受けた。手術には40人以上の医療スタッフが関わった。

 医療チームによると、手と前腕部の移植はまだ非常に珍しく、また、ひじ関節や上腕部も移植したこともあり、免疫系や循環系への影響が懸念されていた。チームはMerkさんが両腕を完全に動かせるようになるまで、神経の再生と筋肉の劣化阻止に注力する。回復までは最長で2年かかるという。

 Merkさんは、自力で食事をし、衣服を着て、「ローラーブレードでちょっとした散歩に出掛ける」ことができる日を待ち望んでいると語った。

 Merkさんはいまのところ、腕に「むずむずとした感覚」しか感じないが、腕を失った経験から人生を長い目で見ることを学んだといい、「何も動じることはない」と語った。

 医療チームを率いたChristoph Hoehnke氏は、Merkさんが予定通り回復しており、4-6週間以内に農場に戻れることを期待していると述べた。(c)AFP/Deborah Cole