【10月5日 AFP】英国、ニュージーランド、カナダの命知らずのスカイダイバーたち3人が5日、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)山頂上空からのスカイダイビングを成功させた。

 スカイダイビングの降下地点としては世界最高記録となる、ネパール領内の標高3900メートルの地点に無事着地した後にAFPの電話取材に応じた英国人の女性写真家ホリー・バッジ(Holly Budge)さん(29)は、エベレスト山頂を通過した際の景色は「壮観だった。約1分間のフリーフォールだったが、雲の上にいる間はエベレストやほかの山の頂上が突き出ているのが見えた」と感動を語った。スカイダイバーたちは落下しながら、氷点下と高度によってめまぐるしい天気の変化を味わった。

 企画したのは英国の冒険旅行会社「ハイ・アンド・ワイルド(High and Wild)」で、1人当たり2万4000ドル(約255万円)のツアーには32人が申し込んだ。
 
 英国とネパールの慈善事業の資金を集めるため約2500メートルを降下したバッジさんは「金額だけの価値はあった。前例のないことを成し遂げた」と語る。バッジさんによると、スカイダイビング用の飛行機はスイスから出発。落下開始地点に全員を連れて行くための許可料は非常に高額だったという。

 エベレスト頂上のさらに上空、高度8940メートルからのスカイダイビングという今回のプロジェクトは、多くの挑戦にぶつかった。空気が薄いためパラシュートの大きさは通常の3倍で、腰に巻き付けた酸素ボンベも使用した。氷点下の気温に耐えるため、ネオプレン製のアンダースーツなど保温力の高い装備で臨んだ。

 この日はダイビングを実行しなかったが、参加者の中で最高齢は、バイオサイエンス企業を共同経営する英国人アラン・ウォールトン(Alan Walton)さん(72)だ。

 主催者側のナイジェル・ギフォード(Nigel Gifford)氏によると、参加者にはスカイダイビングのベテランが多いが、まったく初めてという人もおり、初心者もベテランと一緒に飛ぶという。同社ではこの地域でさらに13日間、スカイダイビングをする許可を得ているという。

 この「エベレスト・スカイダイブ」はギフォード氏が15年間、温めてきた企画だ。3日はインストラクターらが最初のダイビングを行い、4日には、ツアーに参加した20人が高度6666メートルからのダイビングに成功していた。

「ぼく自身、ヒマラヤ登山家でスカイダイビングもする。両方とも大好きなので、2つをくっつけたら素晴らしいんじゃないかと思ったんだ」(c)AFP/Sam Taylor