【9月9日 AFP】イラン国会の司法委員会は8日、複数の妻を持つための手続きを容易にする「家族保護法(Family Protection Bill)」の条項改定案を否決し、廃案とした。改定案には、有力聖職者や女性人権団体から抗議の声が挙がっていた。国営Iran News Networkが伝えた。

 否決された2案のうち第23項の改定案は、「既婚男性が結婚を希望する場合は、複数の妻を養う経済力があること、複数の妻を平等に扱う意志があることを示し、司法当局から許可証受け取るだけでよい」という内容だった。現行の法律では、2番目以降の結婚には「第一夫人の同意」を求めている。

 また、結婚持参金、つまり夫から妻に約束され、婚姻中・離婚時にかかわらずいつでも妻が要求できる金銭または財産への課税を義務付けようとした第25項の改定案も否決された。

 イラン司法当局によると、2つの条項の改定は政府が推進したものだという。

 イランは、イスラム教国ではあるが、一夫多妻制はほとんど根付いていない制度で、多くの国民から嫌悪されてもおり、条項改定案は国内で激しい反発を招いた。

 特に女性たちは、改革派・保守派を問わず、「裕福な男性たちが第2夫人を持つようになり、家族の基盤と尊厳が脅かされるようになる」と非難していた。2003年にノーベル平和賞を受賞したシリン・エバディ(Shirin Ebadi)氏は、改定条項は「道徳の退廃」を招くとして、前週国会を訪れ、否決するよう要請していた。(c)AFP