【8月28日 AFP】貧困地域の南部スーダンでの生活は厳しいが、数万人とも呼ばれる視覚障害者の生活はもっと厳しい。その多くが、2005年まで21年間続いたスーダン内戦のために適切な治療を受けることができず、視力を失った人々だ。

 14歳のネルソン君は幼い頃に感染症で視力の大半を失った。南部スーダンの首都ジュバ(Juba)で、学校に行かずにタバコを売って家計を支えている。

 彼のように感染症で失明する人は、インフラと保健衛生システムが整備されていない南部スーダンでは珍しくない。この地域でハエの一種が媒介するオンコセルカ症(河川盲目症)やトラコーマにかかって失明した人の数は、アフリカでも最悪の部類に入る。うち80%は適切な治療を受ければ防止または治癒できたとの政府の統計もある。

 感染症による失明は通常は予防可能だ。ジュバの病院に勤務する英国人医師によると、オンコセルカ症は西アフリカではすでに根絶されている。「南部スーダンでは、何年にもわたった内戦が根絶を難しくしている」と医師は言う。

 南部スーダンの保健省は、同地域の視覚障害者は推定人口800万人のうち1.5%にのぼるとみているが、実際にはその4倍を超えるとの統計もある。

 同省は保健衛生システムを整備して視覚障害者の比率を2020年までに半減することを目指している。同省は、トラコーマ予防策として目の水洗いを習慣化するよう促し、オンコセルカ症の予防薬を配布しているが、予防薬が手に入るのはリスク人口の4分の1にすぎない。

 白内障で失明に至る人も多い。南部スーダンには白内障患者が6万人いるが、白内障手術を行える医師は2人しかいない。

 その一方で、視覚障害者の自立支援も不可欠だ。ジュバには、視覚障害者協会の職業訓練施設があり、バスケットを編むなどの手工芸の技術が教えられている。(c)AFP/Peter Martell