【8月26日 AFP】オーストラリアで同性愛者が多く暮らすシドニー(Sydney)で25日、市内歓楽街の中心部に「ホモフォビア(同性愛嫌悪)禁止区域」を設置する計画に対し、一部の市会議員が反対の声を上げた。

 シドニー市議会は今月、ゲイやレズビアンのお気に入りの市区で、同性愛者に対する暴力や虐待、嫌がらせを防止する特別指定を賛成5、反対4で可決した。

 オーストラリアン(The Australian)紙によると、この計画は、ゲイやレズビアンコミュニティとの対話の中から生まれた。ステッカーなどのサインを表示することで、地元店舗などがゲイコミュニティへの支援を表明することを奨励するという。

 また、市議会は、深夜営業の店舗で、客が同性愛嫌悪から攻撃的な行動をした場合、深夜営業の許可をはく奪することも考えているという。

 同計画に反対している議員らは、同計画は、むしろ反対に憎悪感情を増大させる可能性があり、同性愛者に対する攻撃的な行動が増加する危険性があると主張している。

 Shayne Mallard市議会議員は、「郊外から訪れ、酒を飲み、同性愛者に暴行をはたらくような若者に、窓に貼ったステッカーが役に立つとは思えない」と話す。「既に同性愛を嫌悪し、暴力的な傾向を持っている彼らに対しては、挑発となる可能性の方が高い。ゲイやレズビアンコミュニティの人々の多くも、暴力的な傾向が増すのではないかと恐れている。こういった、人目を引くため宣伝はもうたくさんだ」(Shayne Mallard市議会議員)

 同計画を支持したシドニーのクロバー・ムーア(Clover Moore)市長は、法律上はシドニー市全域が「ホモフォビア禁止区域」であるが、この新たな計画は、市内におけるゲイやレズビアン、バイセクシュアルのコミュニティの影響力と重要性を認めるものだと述べた。(c)AFP