【7月18日 AFP】オーストラリア・クイーンズランド(Queensland)州ケアンズ(Cairns)で、車体に「クジラを救え、ジャップに銛を打ち込め」と書かれたレンタル用キャンピングカーが走っていることについて、同州のブライ(Anna Bligh)首相は17日、人種差別的だと非難し、日本人観光客の反発への懸念を示した。

 南極海での日本の調査捕鯨をめぐり両国間では対立が続いているものの、オーストラリアの観光収入において日本人観光客は大きな割合を占める。

 キャンピングカーが目撃されたケアンズは、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を訪れる観光客に人気の場所だ。

 ブライ首相は州都ブリスベーン(Brisbane)で記者団に対し、「ケアンズで目撃されたキャンピングカーのスローガンが人種差別的であることに疑いはないと考えている。クイーンズランド州には人種差別の存在する余地はない」とした上で、「クイーンズランド、ケインズでは日本人観光客を大歓迎するということを日本の人々に改めて示すことが重要だと思う」と話した。

 また、ブライ首相は今回のスローガンで気分を害した人は当局に申し出るよう呼びかけた。

 一方このキャンピングカーを所有するWicked Campersは、挑発的なスローガンで知られており、過去にも性差別主義的なスローガンで同国の広告基準当局に訴えられたことがある。

 Wicked Campersの責任者Dave Kinkead氏はAFPに対し、同社のキャンピングカーの車体にスローガンが書かれていることを認め、スローガンは消されておらず、依然ケアンズ周辺で借りることができると思うと述べた。

 同氏によるとキャンピングカーについての苦情はこれまでのところ1件だけだという。同社の常連客は主に欧州からの旅行者だが、日本人もいるとし、「このキャンピングカーが走っているのは、あの美しい動物(クジラ)に銛を打ち込むという極めて現代的な問題に注意を促すためだ」と話した。(c)AFP