【7月9日 AFP】豪アート誌「アート・マンスリー・オーストラリア(Art Monthly Australia)」が6歳の少女のヌード写真を表紙に用いたことで、国内政治家や児童保護団体から非難を浴びている。

 同誌は7月号の表紙で、少女が両脚で体を隠すようにポーズをとる写真を表紙に用いたほか、同じモデルによる2枚のヌード写真を掲載。編集長のMaurice O'Riordan氏は表紙写真について「ヌードと子どもが芸術のテーマになりうることを証明するために」選択したと語っている。

 この背景には、5月に著名写真家ビル・ヘンソン(Bill Henson)による子どもヌードの写真展が警察により中止されたという事件がある。警察当局は数週間にわたる調査の末、写真展の開催を許可した。ヘンソンは起訴を免れたが、この事件をきっかけに「芸術とポルノ」に関する議論は高まりを見せていた。

 ヘンソンの写真展を非難したケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、アート・マンスリー・オーストラリア誌の表紙写真を真っ先に批判。「率直に言って、このようなものには耐えられない」と述べている。

 野党・自由党のブレンダン・ネルソン(Brendan Nelson)党首もラッド首相に賛同し、表紙写真を「弁護の余地のないもので、社会に対する冒涜(ぼうとく)行為だ」と評した。

 児童保護団体のへティ・ジョンストン(Hetty Johnston)氏は、「こうした写真は児童の性的な搾取」だとして、展示、販売、公開を目的に児童の裸を撮影することを禁止する新法の制定を求めている。「法律で明確にする必要がある。現行法はあてにならず、子どもたちを守ることはできない。やってはならないことを明確に示す線引きが必要だ」と、ジョンストン氏はテレビ局ナイン・ネットワーク(Nine Network)のインタビューで語った。

 一方、表紙を飾った少女、オリンピア・ネルソン(Olympia Nelson)ちゃん(11)は、母親でもあるカメラマン、Polixeni Papapetrouさんが2003年に撮影した問題の写真をとても誇りにしており、ラッド首相の言葉には「本当に傷ついた」と語る。

「あの写真はとても気に入っていて、大好きな写真のひとつよ。ママはこれまでもずっと私の写真を撮ってきたわ。あの写真は搾取とは全く関係がないし、ヌードは芸術の一部だと思う」。(c)AFP