【7月1日 AFP】マレーシア北部トレンガヌ(Terengganu)州で、3人の妻と18人の子を持つイスラム教徒の男性が求めていた4人目の妻との結婚が、4度目の申請でようやく認められた。

 1日付の地元紙「スター(The Star)」が報じたところによると、この男性は同州の雑役夫、モハメド・ノア・アワン(Mohamed Nor Awang)さん(51)。マレーシアのイスラム男性は4人までの妻帯が認められており、アワンさんはスジ・スーロン(Suzi Sulong)さん(34)との結婚を承認するよう裁判所に申請した。

 ところが、月収3000リンギット(約9万5000円)のアワンさんが大家族を養うのは困難だとして、同州イスラム裁判所(シャリア法廷)は4人目の妻との結婚を承認しなかった。アワンさんは、結婚が認められなければ、勤労意欲がそがれて収入が減ってしまうと訴えていた。

 イスマイル・ハキム(Ismail Hakim)判事は、新婦となるスーロンさんとその家族に対し、すでに3人の妻があるアワンさんではなく別の男性と結婚するよう説得を試みたが、スーロンさんは「アワンさん以外との結婚は考えられない」と拒絶。さらに、アワンさんの3人の妻も、協力し合って家計を助け新婦を迎えた結婚生活を支えるとの意思を示したため、ついに結婚を承認したという。

 地元紙には、結婚の承認を勝ち取り、裁判所前で妻たちに囲まれ満面の笑みを浮かべたアワンさんの写真が掲載された。アワンさんは、イスラム教の断食月「ラマダン」が始まる9月までにスーロンさんと結婚したいと述べている。

 アワンさんらの結婚を許可したハキム判事は、前月にも25人の子どもと3人の孫がいる54歳の男性に、生活を維持する十分な収入があるとして、4人目の妻との結婚を認めている。

 マレーシアでは4人までの妻帯が許されているが、2人目以降の妻との結婚はイスラム裁判所の許可が必要になる。女性権利団体などには、本来、未亡人や孤児となった女性を保護する目的で設けられたイスラムの一夫多妻制は現代においては本来の目的を失っており、女性にとって残酷な制度だとして抗議する声もある。(c)AFP