【6月26日 AFP】ルーマニアの上院議会は25日、国内のテレビ・ラジオ局に「明るい」ニュースと「暗い」ニュースを同じ割合で放送することを義務付ける法案を、全会一致で可決した。法案はトライアン・バセスク(Traian Basescu)大統領の承認を受け施行される。

 この法案は超党派の動きで、暗いニュースが国民の健康や生活に与える「取り返しのつかない影響」を憂えた与党・国民自由党(National Liberal Party)と野党・大ルーマニア党(Great Romania Party)の2人の上院議員が提出した。

 法案の目的は「社会全体の雰囲気を向上させ、日常生活において、精神的・感情的にバランスのとれたものの見方をする機会を国民に提供する」ことだという。

 ニュースの「明るい」「暗い」の判断は、国の視聴覚委員会に委ねられる。1989年の共産党政権崩壊までメディアが厳しく規制されていたルーマニアで、ジャーナリストたちはこの法案の施行を望んでいないが、委員会そのものの反応も消極的だ。

 通信社メディアファクス(Mediafax)によれば、視聴覚委員会のRasvan Popescu委員長は「ニュースはニュース。明るいも暗いもなく、単純に現実を伝えているだけだ。このような定量的な基準がうまく働くとは思えない。世の中のできごとや人の心は、計画できるものではない」と語った。(c)AFP