【5月10日 AFP】米海底探査会社が2007年5月に北大西洋で引き上げた銀貨・金貨などの財宝17トンについてスペイン政府が所有権を主張している問題で、スペイン政府の弁護士は8日、これらの財宝は1804年10月に英国艦隊に撃沈されたガレオン船と呼ばれるスペイン帆船のものだと発表した。

 ジェームズ・グールド(James Goold)弁護士は、同日スペインの首都マドリード(Madrid)で行った記者会見で、沈没船から引き上げられた銀貨や船内設備、さらに発見された場所など「複数の証拠」から、問題の財宝は、アルガルベ(Algarve)沖で英国艦船に撃沈されたスペインの帆船「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・メルセデス(Nuestra Senora de las Mercedes)」号のものだと語った。

「メルセデス」号撃沈は、スペインが英国に宣戦布告し、両国が再びナポレオン戦争(Napoleonic Wars)に突入するきっかけとなった事件。

 問題の財宝を発見したのは米フロリダ(Florida)州タンパ(Tampa)に拠点を置く海底探査会社オデッセイ・マリン・エクスプロレーション(Odyssey Marine Exploration)で、同社は2007年5月、「大西洋の公海内で」銀貨50万枚と金製品数百点などを発見したと発表した。

 これに対しスペイン政府は、財宝が民間の商船ではなくスペイン軍の船から発見された可能性、および沈没船がスペイン領海にある可能性があり、その場合には財宝はスペインのものだと主張し、フロリダ州裁判所に申し立てを起こした。

 8日に提出予定の書類の中でスペイン政府は、「メルセデス号の引き上げやスペイン水兵とその家族の墓を荒らすことをスペイン政府は許可も同意もしない」と言明。 「メルセデス号撃沈はスペインおよび欧州史上極めて重要な事件であり、沈没船はスペインの不可分財産かつ歴史的な国家遺産」と主張している。

 グールド氏も、船は明らかにスペイン帆船であり、オデッセイ社の「公海域内」で見つかったとの主張は「無関係だ」としている。これについてオデッセイ社側は、見つかった銀貨がスペイン製と判明したからといってスペイン船から見つかったものとは限らないと反論している。(c)AFP