【5月6日 AFP】フランス外相のスピーチライターを務める男性が、文学調だが好色と言えるガイドブック「パリ美人ガイド」を出版した。紳士然とした「公正さ」を鼻で笑う内容だ。

   「それぞれの地域にそれぞれの美食があるように、パリ(Paris)のカルチエ(区画)にはそれぞれの女性の特色がある」と書くのは、ベルナール・クシュネル(Bernard Kouchner)外相の最近の著作を共著したPierre-Louis Colin氏(34)。

■区画ごとに観賞スポットを紹介

 Colin氏は、先月発売された自著の中で、「メニルモンタン(Menilmontant)では、マドレーヌ(Madeleine)地区で見られるような崇高な脚線美を見ることはできないが、ブラジャーで寄せられた輝くばかりの胸元に、慎みのない谷間を見いだすことができるのだ」と記している。

 パリは世界で最も訪問者の多い都市だが、人々はモナリザ(Mona Lisa)やエッフェル塔(Eiffel Tower)だけでなく、素晴らしい女性たちを眺めるために訪れるのだと、AFPの取材に対して、コリン氏は話した。

 パリの人々の魅力を伝えるガイドブックがなかったから、自ら書くことに決めたという同氏。その結果生まれたのが、情報が詰め込まれたガイドブックというよりは、文学エッセーと呼ぶのがふさわしい、190ページの「Guide des Jolies Femmes de Paris(パリ美人ガイド)」だ。

 Colin氏は、さまざまなパリジェンヌたちの例を、目の肥えた人々がゆっくり眺めることができるよう、バーやスーパーマーケット、公園、美術館、あるいは地下鉄の車両の中など、区画ごとの観賞スポットを、最も適した時間帯とともに紹介している。

 たとえば、「たいていはGストリング下着を着用し、ほぼノーブラ」と特徴付けられる「はやり物に敏感な若い女性」は、カフェや高級食材店の並ぶ歩行者地区のモントルグイユ(Montorgueil)で見かけることができる。ちなみに、著者はモンドリグイユを「パリのエロチックな放射エネルギーの発生地」と呼び、称えている。

■「美女観賞は仏文化の重要な一部」

 だが、Colin氏は、著作には女性をナンパする方法も、パリに無数に存在する不道徳な館の住所も書いてないと指摘している。

   「観賞することは、遭遇することではない。この点にこそ、『観賞する人』が現代の消費社会に持つ深いオリジナリティが疑いようもなく横たわっている。観賞する人の目的は所有することではないのだ」と、Colin氏は序文に記している。

 Colin氏は、「真に芸術を愛する人々は、美術館を訪問しても、ガイドブックやポストカードをたくさん買い込まなければならないといった義務感にとらわれることがないものだ。観賞する人はそれに似ている」と述べている。

 Colin氏はまた、アングロサクソン的な紳士然とした「公正さ」を一蹴(いっしゅう)し、美しい女性を観賞する自由はフランス文化の重要な一部だと大胆に述べている。(c)AFP/Rory Mulholland