【4月30日 AFP】北京五輪の聖火リレーは29日夜、ベトナムの最大都市ホーチミン(Ho Chi Minh)で行われた。

 同市中心部のオペラハウス(Opera House)近くに設置されたリレーのスタート地点には数千人が集まり、大勢が中国国旗を振っていた。

 群衆が声援を送り警官隊が厳重に警戒する中、60人が参加した聖火リレーは、開始から1時半後に最後の走者がホーチミンの空港近くにある軍の競技場に到着した。中国政府に対する抗議集会も予定されていたが、妨害行為はなかったとみられる。

 ホーチミンに加え、首都ハノイ(Hanoi)でも、中国公館の警備やブログ上で発表されていた反中抗議集会の実施を阻止するため、早朝から警察官数千人が配備された。

 リレーのルートは事前に発表されず、また国営テレビは聖火リレーを生中継しなかった。空港近くにある軍の競技場に設置されたゴール地点では、携帯電話の電波は妨害された。

 一方、ベトナムの活動家は、南シナ海(South China Sea)の南沙(スプラトリー、Spratly、ベトナム名チュオンサ)、西沙(パラセル、Paracel、ベトナム名ホアンサ)両諸島の領有権を主張する中国政府に対し、平和的な抗議活動を行う予定だと発表していたが、活動家によると、ハノイで抗議活動に参加した数十人が拘束され、抗議集会の開催も阻止されたという。

 米国の人権擁護団体「Viet Tan」はこれに先立ち、ハノイで29日に十数人が拘束されたのを確認したと発表しており、大勢の活動家やブロガーはさらに多数が同日午前に拘束されたと主張している。

 警察当局は拘束者について発表していないが、AFP記者は、ハノイの市場で五輪が手錠で描かれた旗を広げて抗議活動を行っていた2人が連行されたのを目撃している。

 数日前には、警察当局は脱税容疑で活動家のブロガー1人を拘束し、「弾圧に金メダル」などと書かれたTシャツを所持していたとしてベトナム系米国人1人を逮捕した。

 同国で禁止されている人民民主党によると、「聖火リレーに抗議しよう」「中国はベトナムの南沙、西沙両諸島を侵略した」と書かれたTシャツを印刷したとして、ホーチミンの大学生らが拘束されたという。

 同市でのリレーで聖火リレーの国際ルートはすべて終了した。聖火は30日午前10時(日本時間正午)、香港(Hong Kong)とマカオ(Macau)に空路で向かう。(c)AFP/Aude Genet