【4月26日 AFP】国境なき医師団(MSF)は23日、貧困国への食糧援助が食料価格高騰のあおりを受け、栄養不良の子どもたちを直撃しているとの見解を発表した。

 MSFの栄養アドバイザー、スーザン・シェパード(Susan Shepherd)氏によると、食料価格の高騰により、乳幼児が最も必要とする乳製品などの援助が真っ先に減らされるか停止される傾向があるという。

 しかし、援助する側は「食料であればなんでも助けになるはず」と考えがちで子供向けの食料が援助されず、「子どもたちの栄養状態は改善されないどころか、病気になったり、死んでしまったりすることもある」とシェパード氏は懸念している。

 食料価格は、人口の増加、開発途上国における需要の増大、地球温暖化対策としてのバイオ燃料の開発、洪水や干ばつの増加といったさまざまな要因が絡み合って世界的に高騰している。

 国連(UN)世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)は22日、食料価格の高騰を「静かな津波」と警告する声明を発表した。あらたに1億人が飢餓に陥る恐れがあるというものだ。

 コメの価格は、3月初旬から2倍以上に跳ね上がり、1トンあたり1000ドル(約10万円)に達する勢いだ。その影響で、開発途上国の多くで暴動や抗議デモが頻発している。

 MSFは、乳製品の援助は輸送面で困難な問題があるが、栄養食品(RUF)ならそうした問題を解決できるとしている。RUFは通常の援助食料よりも栄養価が高く、冷蔵も水を加える必要もなく、そのまま食べられる。だが、国連機関やNGOが行う食料援助にはRUFが含まれていないという。

 ともあれ、状況を変えるには政府を動かす必要があるとの考えから、MSFはEUおよび米国政府と協議を重ねているという。(c)AFP