【3月12日 AFP】故毛沢東(Mao Zedong)主席はかつてこう言った。「中国人女性は空の半分を支えているが、政治権力の半分も掌握することはできない」

 今週開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)では、今年もダークスーツ・赤ネクタイの男性代議員たちが会場を埋め尽くす。だが女性代議員の姿は少ない。

 ウイグル自治区のある代議員は、「男女平等は国家政策でもあるが、実現するのは難しい。特に高官レベルともなると女性の比率は極端に低い。女性の積極的起用をこれからも求めていく」と語る。

 中国の政界で最も登りつめた女性は呉儀(Wu Yi)副首相(69)だ。「能力ではなく家柄で選ばれた」との噂もある呉氏だが、女性では数少ない共産党政治局員も務め、その交渉手腕は海外でも評価が高い。だが、会期中に定年を迎えると見られることから、後釜に誰が座るかが注目されている。

 とは言え、女性が「財産の1つ」と見なされたり、足が大きくならないよう纏足(てんそく)を実践していた皇帝時代と比較すると、大きな進歩だ。 

 1949年に中華人民共和国が成立すると、女性には離婚や政府の役職に就く権利などが与えられ、それまでは裕福な家庭の子女のみが享受していた教育の機会も与えられた。「1949年以来、女性の家庭・経済・教育における地位は向上し続けている」と、ある女性代議員は語る。

 近代化が進むにつれて女性たちの自由は増え、経済における機会にも恵まれるようになったが、売春婦や「既婚男性が愛人を囲う」という負の側面も生まれた。

 ある学者によると、古い考えにとらわれている中国人男性たちは、女性の優位や、家庭と仕事を両立させる女性像というものを認めたがらないという。一人っ子政策が女性の生む権利を侵害しているとの指摘もある。

 政治上の決定はたいていは酒席で行われ、若い女性たちがはべるような場所で行われることも多い。そういう男尊女卑の傾向が、国家の印象をも間違ったものにしているとの批判がある。

 前年の全人代は、総会に参加する女性の比率に「22%以上」の数値目標を掲げたが、今年集まったのは約3000人、21%だった。

 先の教授によると、過去10年間で女性代議員数は2%増えただけという計算になる。(c)AFP/Dan Martin