【3月7日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は6日、ジェンダー間の平等促進に向けた女性や女児への投資という世界的な動きを支援する方針を示した。

 8日の「国際女性の日(International Women's Day)」を記念して行われたシンポジウム「女性と女児への投資(Investing in women and girls)」で明らかにしたもの。

■「効果的かつ革新的な方法で女性への投資を」

 潘事務総長は「女性への投資は、正しいだけでなく賢明なことでもある」と述べ、貧困、飢餓、非識字、環境悪化、各種疾病の撲滅に向け、効果的かつ革新的な方法で世界中の女性に投資するよう訴えた。

「小規模金融の成功は女性の信用度の高さを立証している。1999年には1000万人だった小規模金融を利用する女性の数は、2005年には6900万人まで急増している」と指摘した。

 さらにジェンダー間の平等は、2015年を目標年とする「ミレニアム開発目標(Millennium Development GoalsMDGs)」など、すべての国際開発目標を達成する上で必要不可欠だと述べた。

 MDGsは2000年に国連加盟国によって採択された枠組みで、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げている。これらの目標にはエイズ(HIV/AIDS)やマラリアのまん延防止、妊産婦の健康の改善、幼児死亡率の低減、極度の貧困と飢餓の撲滅、ジェンダー間の平等の推進などが含まれる。

 潘事務総長によれば、50以上の国が性別を意識した予算を組んでいるほか、多くの国が女性による土地・財産所有などを禁じる法律を廃止する一方で、女性の起業を支援し、小規模金融利用の道を大きく開いている。

■政治的努力の必要性

 また、女性の地位向上やジェンダー間の平等をめぐり、政策と実際の違いがしばしばみられるという。「政治的意志の欠如が、資金不足や不十分な予算の振り向けなどすべてに影響して」おり、「この予算配分の失敗が、ジェンダー間の平等や女性の地位向上の推進だけでなく、MDGs達成のための取り組みを妨害している」と警告した。

「長年にわたる確かな経験で学んだ通り、女性と女児への投資は生産性と持続的な経済発展に累乗的効果をもたらす。エイズ予防を含め、教育と福祉を増進する上で、これ以上重要な方法はない。ほかの政策では栄養不足を改善したり、幼児や妊産婦の死亡率を下げたりすることはできないだろう」(潘氏)

 2008年はMDGsの折り返し地点となる。目標達成は、女性と女児への投資でしか実現しえないと事務局長は指摘している。(c)AFP