【2月29日 AFP】イタリアのファシスト(Fascist)政権を率いたベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)が所有していたアルファロメオ(Alfa Romeo)のスポーツ車が28日、英国で競売に掛けられたが、最低競売価格に達せず不成立となった。

 出品されたのは、ムソリーニが1935年に特注で作らせた真赤なアルファロメオの2人乗りスポーツ車「6C 2300」。ブレーキ出力は通常の65馬力から95馬力に引き上げられている。

 英中西部チェルトナム(Cheltenham)の競馬場で行われた競売での最高入札価格は45万ポンド(約9600万円)だったが、競売主催者のクラシック車などを専門に扱うH and H Classic Auctionsは60万ポンド(約1億2400万円)から80万ポンド(約1億6500万円)での売却を希望していたことから、落札はならなかった。

 同社のダミアン・ジョーンズ(Damien Jones)氏は、売買が成立しなかったのは独裁者ムソリーニの悪評が原因ではなく、同車が極めてまれな車種であることから、市場価値を計りかねたからだという。競売参加者も、一般的なその他の車種については、評価額に納得できたのだろうと同氏は説明した。

 ジョーンズ氏によると、アルファロメオの所有者は現在、競売参加者とは別の人物と交渉中だという。

 1936年には、当時ムソリーニのお抱え運転手だったエルコレ・ボラット(Ercole Boratto)が「6C 2300」のドライバーを務め、1000マイル(1609キロメートル)の自動車レース「ミッレ・ミリア(Mille Miglia)」に出走している。ボラットは元アルファロメオのテストドライバー。(c)AFP