2007年12月27日、宮城県仙台市の東北大学加齢医学研究所で、自身の監修した任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS(Nintendo DS)」の大ヒットソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の各国語版を前にポーズをとる川島隆太(Ryuta Kawashima)教授。(c)AFP/MIWA SUZUKI
【2月12日 AFP】任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS(Nintendo DS)」の大ヒットソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を監修した東北大学加齢医学研究所の川島隆太(Ryuta Kawashima)教授(48)は大金持ちになる機会を退け、生活のために働く道を選んだ。
仕事中毒を自称する同教授は、自身が開発したゲームソフトを使う時間も惜しみ、増加しつつある日本の高齢者を対象にした新たな発明にいそしんでいるという。
「1銭もわたしのポケットには入っていない」と丸縁の眼鏡をかけた教授は語る。「家族はみんなブーブー言ってます。お金が欲しかったら自分で稼いでこいって言ってるんですけどね」
教授の開発した「脳トレ」ソフトは、新たな年齢層をビデオゲームの世界に引き込んだとして高い評価を得ている。認知症を回避したい高齢者からの支持をえたのだ。
2005年5月の発売以来、世界中で1700万本を売り上げた同ソフトの監修料は24億円にも上る。勤務する東北大学との取り決めでは、同教授は収益の最大半分までを受け取ることができ、残りは大学側が受け取ることになっている。
ところが、高校時代の同級生と結婚し、4人の息子の父親である同教授は、約1100万円の年収に満足しているという。
「こう言うと嫌みみたいに聞こえるかも知れませんけど、趣味は仕事です」とAFPのインタビューに対して仕事中毒を自称する。監修料を受け取って南の島で暮らしたいと思ったことはないかとの問いには、「時間を持て余してしまうと思います。そういう暇があったら研究したい」と回答。
実際、教授を仕事から遠ざけることができるものは何もないようだ。例えば、前年、20キロのダイエットを決断した教授がしたことは、ただ食べる量を減らすことだけ。「運動している暇があったら仕事したい」
川島教授が脳に興味を持ちだしたのは10代のころ。「人類最後のときを見るため、自分の脳をコンピューターに入れたい」と思ったのだそうだ。
この野望を果たすにはまだ道のりは遠いかもしれないが、教授は監修料の中から3億円を投じて加齢医学研究所を設立、さらに、4億円を投じた別の研究所が3月に完成する予定だ。
慈善的な行為によって人々の称賛を受ける一方、ほかの研究者たちにとってそれがモチベーションになるのなら、研究でもうける権利があると教授は語る。
■勉強はつらいもの、楽しいものではない
人間は体を鍛えるのと同様に、脳を鍛えることもできるという。
青少年の脳の発達に関する文部科学省の助成プロジェクトが4年目に入ったいまも、長時間のゲームによって子どもたちの脳がどのような影響を受けるかは分からないという。
任天堂のためにゲームソフトを開発したにもかかわらず、14歳から22歳になる4人の息子には平日のゲームを禁じ、週末にも1時間しか許可していないという。息子がルールを破ったときにはソフトを壊したこともあったという。
「ゲームの怖いところは何時間でも時間をつぶせること。ゲーム自体悪いことと思ってないけれど、やるべきことができなくなる。例えば、子どもだったら勉強するとか家族とコミュニケーションするとかです」と教授。
教授は若い子どもたちについては厳しい規律が必要だと信じており、勉強を楽しくする考えには反対だという。「プレッシャーをかけて努力させるのが勉強で、楽しませることじゃない。人は低き低きに流れるんです。ある程度高みに登らせないと、どこまでも低いところに行っちゃうんです」
トヨタ自動車(Toyota Motor)との共同による最新の研究では、高齢者ドライバーに事故防止警告を行う自動車の開発を行う。
自身も年齢を重ねるつつある教授は、あることを確信しているという。「認知症になる自信がある。迷信ですが、研究者、特に医学系は研究しているもので死ぬ。わたしは脳の研究をしているので、脳の病気で死ぬと思っている」と笑いながら語った。(c)AFP/Miwa Suzuki
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