【1月30日 AFP】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janerio)で2月1日から開催されるサンバ・カーニバルで、ナチス(Nazi)によるホロコースト(Holocaust)の犠牲者を表現した山車が参加することが明らかになり、国内のユダヤ人コミュニティから不興を買っている。

 問題の山車は、2月2日のパレードに参加する11台の山車のうちの1つ。きらびやかな山車、にこやかにステップを踏むダンサー、にぎやかにビートを刻むドラムバンドの中で、死体や骸骨を模した人形を折り重なるように積み上げた山車はドラマチックな対照を成す。テーマは『ぞっとする(It’s Horrifying)』。

 山車を製作したUnidos da Viradouroサンバ学校のパウロ・バロス(Paulo Barros)氏は、「こういうことが二度と起こらないようにという警告を込めたもので、とても尊敬に値する山車だ。カーニバルは、世界で何が起きたかを見せる場でもある」と語る。

 だが、ユダヤ系住民の見方は違う。Grande Rioサンバ・チームから山車を出すユダヤ系ポーランド人のRoberto Szanieckiさんは、「無神経だ。パレードのもようはヨーロッパでも放映されるだろう。私の祖父母は、ホロコーストの犠牲者だ」と地元紙に対して不快感を語った。

 リオデジャネイロの「イスラエル人連盟」のSergio Niskier総裁は、「お祭り気分が、1938-1945年にナチスの強制収容所でユダヤ人600万人が殺されたシーンによって中断されるのは不適当」と語る。「あの恐怖を覚えている人、恐怖を背負った子孫がたくさんいる中で、あのようなシーンをダンスやドラムで表現するのも無意味なことだ」

 バロス氏は、山車の件を数か月前にイスラエル人連盟に通知したという。「連盟は確かに、カーニバルでそのような山車が出ることを懸念していた」と話しながらも、「でも山車が通るとき、見物客は敬虔な気持ちになるだろう」と自信をのぞかせた。(c)AFP