【12月24日 AFP】忙しすぎてシャツをクリーニングに出したり、クリスマスプレゼントを買いに行ったりする時間がない-。そんな人たちを日々の雑用から解放するために、「ライフスタイルマネジャー」という業種が米国を中心に広まり始めている。

 3年前に25歳でライフスタイルマネジャー会社「セレニティ・ナウ(Serenity Now、『今すぐ穏やかに』の意)」を興したエズラ・グラス(Ezra Glass)氏は「ワシントンD.C.(Washington DC)では誰もが極端に忙しく、何をする時間もない。だからこのようなサービスが必要だ」と語る。

■犬の散歩から自家用ジェットの手配まで

 彼の会社に勤める7人のスタッフは、犬の散歩から自家用ジェット機の手配、自動車の売却まで、顧客の日々の雑用を引き受ける。

「これまでの仕事で一番の変り種は、顧客の飼い犬をコロラド(Colorado)州のある場所へ決められた車種の車で運ぶ仕事だった。その犬の好みのフォード・エクスプローラー(Ford Explorer)をレンタルしなければならなかった」とグラス氏は語る。

 国際コンシェルジュ&エランド協会(International Concierge and Errand AssociationICEA) には現在、世界22か国のライフスタイルマネジャー企業約650社が登録されており、うち500社は米国にある。この業種は米カリフォルニア(California)州で生まれ、1990年代後半からは、英国ロンドン(London)などでも普及している。

 ICEA代表のカーラ・マンデル(Carla Mandell)氏は「(このサービスは)現在人気が出つつある。その主な理由は、世界中の人々が時間を欲しているからだ。人々は楽しむことに時間を費やし、そうでないことは委託することを好む」と指摘する。

 代金は仕事内容に応じて、1時間45-110ドル(約5100-1万2500円)程度。「セレニティ・ナウ」などのように、450-1200ドル(約5万1000-13万7000円)程度で月極契約を結んでいる会社もある。

 グラス氏は「これらの企業はおおむねうまく経営している。経営者の多くは起業家、弁護士、ロビイストだ」と語る。

■利用者の年収は?

 ICEAによると、ライフスタイルマネジャーに委託する人の3分の1以上は年収が5万-10万ドル(約570万-1140万円)程度だという。

「ほとんどの顧客が6けたの年収があるが、100万ドル(約1億1400万円)は必要ない」と、ワシントンD.C.で従業員2人とともに「ジャスト・コール・ロリ(ロリに電話して、Just Call Lori)」を経営するロリ・ウェルチ(Lori Welch)氏は語る。

「顧客は信じられないほど長時間働いている。お金はあるが時間はない」とクリスマスプレゼント購入の依頼を受けたロリ氏は語った。

■繁忙期はクリスマス休暇と春

 ライフスタイルマネジャーにとっての繁忙期はクリスマス休暇と春だ。

 グラス氏は「なぜ人々が春に多くのことをしたいのか分からない」と語る。

 大きな仕事としては、家の改装、車の購入、休暇の手配などがある。

 休暇時期が近付くと、ロリ氏のスケジュールは予約でいっぱいになる。彼女は約100人の顧客を抱えていて、うち25人は月極の固定客だ。

「クリスマスの買い物からプレゼントの発送までします。顧客のために郵便局の列にも並ぶし、クリスマスツリーを買って家のデコレーションもします」とロリ氏。

 グラス氏のビジネスは非常に順調で、向こう2年間でニューヨーク(New York)、ロサンゼルス(Los Angeles)、マイアミ(Miami)の各エリアに事業を拡大する予定だという。

(c)AFP/Virginie Montet