【12月7日 AFP】米国には奇妙な名前の町が数多くあり、その由来もさまざまだ。

 テキサス(Texas)州には「地球(アース、Earth)」があり、そこから2400キロ離れたペンシルベニア(Pennsylvania)州には「火星(マーズ、Mars)」や「金星(ビーナス、Venus)」がある。

 メリーランド(Maryland)州にある「朝日(ライジングサンRising Sun)」の住民は、ミシシッピ(Mississippi)州の「ホットコーヒー(Hot Coffee)」、ノースカロライナ(North Carolina)州の「トースト(Toast)」、フロリダ(Florida)州の「2つの卵(ツーエッグ、Two Egg)」と親密な関係があるのかもしれない。

 ペンシルベニア州で、伝統あるキリスト教アーミッシュ派の信者が多く住む「交流(インターコース、Intercourse」は、町が築かれた18世紀当時は、有名な宿の名前を取って「クロスキーズ(Cross Keys)」と呼ばれていた。その後1800年代に現在の名前に変更されたが、その理由をはっきりと知る人はいない。町のウェブサイトによると、「エンターコース(Entercourse)」と呼ばれていたレースコースにちなんでつけた名前が徐々に「インターコース」に変化したとする説、1800年代には友情や社会交流などを指す言葉として「インターコース」がよく使われたとする説などがある。

 オレゴン(Oregon)州の「退屈(ボーリング、Boring)」な町では、「最もワクワクする町」と宣伝する取り組みが行われている。

 一方、フロリダ(Florida)州の「クリスマス(Christmas)」では、クリスマスシーズンにはクリスマスカードを投函(とうかん)しに近隣の町から訪れる人がいるなど、ビジネスが好調だ。

 インディアナ(Indiana)州の「サンタクロース(Santa Claus)」も同様な恩恵を受けている。この町の「サンタクロース郵便局」には毎年クリスマス時期になるとサンタクロースあての手紙が50万通届き、同数の手紙がここから発送されるという。

「郵便局は町で一番有名でしょう。この町は1850年代にドイツの移民によって築かれました。町の発展に合わせて郵便局が必要になり、その申請のために町名が必要になったのです。そこで、クリスマスイブに会議を開いて議論していると、外でソリの鐘の音が鳴り、少女が建物のドアを開けて『サンタクロースよ!』と叫んだのです」と観光局の職員は説明した。それがきっかけで町名が決まり、政府の承認も得られたという。

 奇妙な名前を持つ町には、独自の悩みがある。町境に立てられている町名表示が盗まれてしまうのだ。「性交」という意味も持つ「インターコース」の町名表示を盗んだ人は、自分のベッドの上にその表示を飾っているに違いないと考えられている。(c)AFP/Karin Zeitvogel