【11月20日 AFP】(一部更新)フランスの高級レストランガイド「ミシュラン(Michelin)」の初の東京版、「ミシュランガイド東京2008」の内容が19日、公表された。108年の歴史を持つミシュランガイドとしては史上初めて、掲載されたレストランすべてに星がついた。

 欧米以外で同ガイドが発行されたのも、今回の東京版が初めて。同ガイドは欧州では、レストランを「繁盛させる」とも「つぶす」とも言われており、日本のレストラン業界に携わる多くの人は、その発売を期待と不安の目で見守っていた。

 初の東京版では掲載店舗150軒に対し、同ブックで過去最高の合計191の星がつけられた。97の星がつけられたパリ(Paris)版の約2倍、54の星がつけられたニューヨーク(New York)版の3倍以上という快挙だ。

「東京は最高のレストランを擁する世界的都市になりつつある。世界で最も多くの星を得た都市だ」と、ミシュランガイド総責任者のジャン・リュック・ナレ(Jean-Luc Naret)氏は出版記者会見で語った。

『ミシュランガイド東京』ですべてのレストランに星が贈られた理由については、「ほかとは比較できないほど高品質の素材と、調理技術の高さ、そして代々受け継がれている遺産と料理の伝統があること。さらに受け継がれた伝統は、料理人たちの優れた技術で常に発展し続けている点だ」と説明した。従来、ミシュランガイドでは星なしでレストランが掲載されることも珍しくはない。

 東京版に掲載されたレストランの60%は日本料理(懐石、鉄板焼き、てんぷら、そば、ふぐなど)で、残る大半はフランス料理。そのほかイタリア料理、中華料理、スペイン料理などが掲載されている。最高の格付けを表す3つ星レストランは8軒、2つ星は25軒、1つ星は117軒だった。

 3つ星がつけられたのは、日本料理の「濱田屋(Hamadaya)」「かんだ(Kanda)」「小十(Koju)」、すしの「すきやばし 次郎(Sukiyabashi Jiro)」「鮨 水谷(Sushi Mizutani)」、フランス料理の「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)」「ロオジエ(L'Osier)」「カンテサンス(Quintessence)」だ。

 ルネサンス期の大邸宅を模した建物で営業するジョエル・ロブションの渡辺雄一郎(Yuichiro Watanabe)シェフは、同ガイド発表前、「3つ星をとらなければ首になる」とメディアに語っていた。また、「すきやばし 次郎」は同ガイドを辛らつに批判していたが、3つ星を贈られている。

 「ミシュランガイド東京2008」は22日、日本語版と英語版で発売される。広告料を支払ったレストランを掲載したガイドブックが多い日本では、ミシュランガイドの発売は話題を呼んでいた。

 ミシュランの審査員はフランス人3人と日本人の専門家2人で構成されていた。日本食レストランでは料理そのものより「見栄え」が重視される場合もあるため、これらの審査員が日本のレストランを評価する立場にあるのかという疑問の声も上がっている。

 今週、同ガイドのロサンゼルス(Los Angeles)版とラスベガス(Las Vegas)版も刊行される。米国初のニューヨーク版は、ガイドが欧州料理に偏っており、それ以外の多様な料理を見落としているとして、物議をかもしていた。(c)AFP/Roland de Courson