【11月14日 AFP】英国イングランド地方のニューカッスル(Newcastle)州で、13世紀に制定された「ロバに乗って日帰りできる距離にある村で市(マーケット)を開いてはならない」という法律をめぐり、現在も論争が繰り広げられている。

 同州東部サウスタインサイド(South Tyneside)の村人たちはこの法律を、当時ライバル関係にあったタイン(Tyne)川対岸の村、ノースシールズ(North Shields)の繁栄を阻止するために、長年にわたり適用してきた。

 同法が21世紀の現在になってもノースシールズの住民たちを悩ませている。

 ノースシールズで定例の週市を開くための運動を続けるノースシールズ商工会議所のマギー・リチャードソン(Maggie Richardson)さんは、「このばかげた法律を廃止させるべく、何年間も努力してきた」と訴える。
 
 リチャードソンさんはサウスタインサイド議会(South Tyneside Council)に陳情したが、同法は13世紀にジョン王(King John)が制定し800年以上も適用されてきた由緒ある法律だとして、取り合ってもくれなかったという。

「笑いごとではすまされない。ノースシールズは深刻な状況にある。中心市街地を活性化するためにも、どうしても市を開きたい」(リチャードソンさん)

 しかし、サウスタインサイド議会側は「ロバ」のようにかたくなな態度を崩さない。

 同議会広報は「サウスタインサイドで開かれる市は人気が高く、毎年数千人もの観光客が訪れる。議会には、町にとってこのように重要な行事をライバルから守る義務がある」と説明する。

 ロバに乗って日帰りできる距離は10.7キロと規定されている。その根拠は、当時の商人たちが自宅を出てから町に着いて8時間商売をした後で、その日のうちに帰宅できる距離だという。(c)AFP