【11月11日 AFP】(12日写真追加、記事更新)タイの観光地パタヤ(Pattaya)で11日、世界各地から24人が参加した性転換者による美人コンテスト「2007年度ミス・インターナショナル・クイーン(Miss International Queen 2007)」の決勝戦が行われ、地元ビジネススクールの学生、Tanyarat Jirapatpakonさん(21)が栄冠を勝ち取った。

 優勝者が発表された瞬間、黄色いドレスに身を包み、恥ずかしさを顔ににじませたJirapatpakonさんは、目に涙を浮かべライバルと抱き合った。

 豪華だが上品なタイの伝統衣装と、環境保護への熱意がJirapatpakonさんを勝利に導いた。準ミスにはブラジル代表のAleika BarrosさんとフィリピンのChanel Madrigalさんが選ばれた。

「世界一美しい性転換者」に選ばれ、優勝賞金1万ドル(約110万円)を獲得したJirapatpakonさんは「すごくうれしい。選ばれるなんて夢にも思っていなかった」と喜びを口にした。

 タイでは美人コンテストの人気が非常に高く、さらに性的自由を尊重する国としても有名。このコンテストでも、ほかの伝統的な美人コンテストと同じく真剣な審査が行われる。

 参加者は、水着部門とイブニングドレス部門で美を競う。衣装の中には3万3000ドル(約360万円)の豪華な衣装も登場した。

 最終的に観衆の心を動かしたのはJirapatpakonさんの美しい脚やスリムな肢体だけでなく、彼女の環境保護への熱意だった。環境問題への理解をどう広めるかを問われたJirapatpakonさんは「地球温暖化は世界が直面する深刻な問題です。考えてみてください。これはあなたの地球でもあります」と会場の観客に語り掛けた。

 多くの観客が詰め掛けた会場には、タイ人だけでなく観光客の姿も見られた。地元テレビ局によると、国内で約500万人が中継を見たという。

 美人コンテストの人気から、タイでは性転換者が「夜の世界」から音楽などのさまざまな業界に進出し始めている。

 フィリピンのマニラからコンテストに参加したRain Marie Madrigalさん(24)は「母国ではわたしのような人に対する差別がまだまだ根強い」と指摘、「性転換者にとってここはユートピアのような場所」とタイの性に対する姿をたたえた。(c)AFP/Benjamin Helfrich