【10月29日 AFP】1か月にわたって行われた貧困層による数千人規模のデモ行進は28日、ニューデリー(New Delhi)に到着した。貧しい農民、土地を持たない労働者、先住民らが参加し、インド経済の急成長に取り残された貧困層の窮状を訴えた。

 男性、女性、子どもを含むデモの参加者は緑と白の国旗を振り、自由の象徴である身分制度カーストの下層出身であった故ビームラーオ・ラームジー・アンベードカル(Bhimrao Ramji Ambedkar)の肖像を掲げながら、内陸部から列をなして行進した。

 デモ参加者らの要求は、土地と水の権利。農村部を産業地区に変え、9%以上の経済成長を維持するため海外からの投資を促したい政府の狙いとは相反する。

 インド独立の父、故マハトマ・ガンジー(Mahatma Gandhi)の誕生日である10月2日、約2万5000人規模のデモ参加者らはグワリオル(Gwalior)の中心都市から600キロメートルにわたる大行進を開始し、奇跡的な経済成長の無意味さを訴えた。

 デモの主催者は「インド国民の40%は土地を持たず、23%は極めて貧しい状態にある」と指摘する。「このような状況のせいでインド600地区のうち172地区で毛沢東主義派(Maoist)による暴動が発生し、100の地域で農民らが自殺する結果を招いた。このような地区における改革の成果はどこにあるのか?」と問いかけたいという。

 今回のデモ行進は、政府に対し、富裕層や権力者にたやすく所有権を奪われてしまう現行法に変わり、借地、譲渡証書、借地使用権などに関する確固たる法律の導入を求めるのがねらい。

 先祖代々守ってきた土地に証明書がないことや汚職が原因で、森林地帯の先住民などを含む多くの人々が土地を失っている。(c)AFP/Tripti Lahiri