【10月26日 AFP】恋愛小説を手本にするなら、恋人募集中の医師は救急医療に携わるべき―アイルランド国立大学ダブリン校(University College Dublin)のブレンダン・ケリー(Brendan Kelly)医師が、27日発売の英医学雑誌ランセット(Lancet)に、病院を舞台とした恋愛小説に関する調査結果としてこんな風変わりなコラムを寄せている。

 ケリー氏は病院を舞台にした恋愛小説をランダムに20冊選び、その構想と特徴を研究。その結果、男性の主人公のうち6人が救急医療分野で働き、5人が外科医、3人が産科や小児科で働く医師であることがわかった。

「救急医療分野に従事する聡明で、背が高く、肉体美を誇るハンサムな男性医師が主人公の多数を占めていました。その他の共通点としては、地中海周辺の出身であること、過去に悲劇を体験していることが挙げられます」とケリー氏は分析している。

 女性の主人公に関しては、11人がプライマリー・ケア、産科、外科、救急医療分野に携わる医師で、8人が看護師、1人が救命救急士だった。「高い技術を誇り、美しく、しっかり者で、優しい女性」という共通点が見られたという。

 ストーリー展開については、腎臓の摘出ミスや院内での細菌感染といった医療過誤訴訟は敬遠される傾向にある。人気があるのは、「白衣の救世主あらわる」的なお決まりの展開で、ケリー氏によれば、「男女の主人公とも、重病患者のためにしばしばプライベートを犠牲にしてまで、懸命に命を救おうする姿が見られる」そうだ。

 ケリー氏はコラムの締めくくりに、主人公が聴診器を使うときに「情熱を抑えられなくなってしまう」シーンが頻出することから、そうした「危機的状況」に備えて早急に訓練を受けたことがいいだろうと、皮肉めかして記している。

 米ロマンス作家協会(Romance Writers of America)によれば、病院を舞台にした恋愛小説は急成長を見せる小説カテゴリーの1つ。年間の売上げは12億ドル(約1370億円)で、国内の小説売上の39.3%を占める 。(c)AFP