関連情報米国の「ズボンの腰ばき」禁止条例
【10月20日 AFP】米国内で広がりつつある「ズボンの腰ばき」や「下着の露出」を禁止する条例制定の動きが、すでに社会的疎外状況下にある若い世代の黒人男性層をさらに追い詰めると、アフリカ系アメリカ人の専門家らが指摘した。
■「ズボンの腰ばき」禁止、若い黒人男性のみが対象と指摘
ワシントンD.C.(Washington, DC)に本部を置くアフリカ系アメリカ人問題を専門とするシンクタンク「Joint Center for Political and Economic Studies」の上級研究員Wilhelmina Leigh氏は、「禁止条例は、常に弱い立場にいる一部の集団だけを対象としている」と指摘する。
同氏は「10代のアフリカ系アメリカ人男性は、たとえズボンを腰ばきにしていなくても、ほかの人種の若者よりも監視の対象となるだろう。タトゥーやボディピアス、過激なヘアスタイルなども同様に若者文化の一部であるのに、それについては誰も法を持って規制しようとはしない。ズボンの腰ばきだけを禁止するのは明らかにある特定のグループを対象としている」との見方を示した。
■「ズボンの腰ばき」は「囚人スタイル」
ルイジアナ(Louisiana)州の一部の市や町では、すでにズボンの腰ばきを「下品な行為」として禁止する条例が可決・施行されている。また、アトランタ(Atlanta)、ボルティモア(Baltimore)、ダラス(Dallas)、フロリダ(Florida)州オパ・ロッカ(Opa Locka)、ニューヨーク(New York)州ヨンカース(Yonkers)でも、同様の条例の制定が検討されている。
ダブダブのズボンを腰ばきにするスタイルは、1990年代のヒップ・ホップ音楽の流行により人気が上昇。このスタイルは、安全上の問題から囚人のベルトを取り上げた米刑務所の規則に由来しているため、ヨンカース市のある市議は「そのスタイルの歴史を理解し、まねしないようにしてほしい」と主張。
一方で、元ミス・ルイジアナで現在はニューヨークにある国際法律事務所に務めるFaith Jenkins弁護士は、若い黒人男性が囚人ファッションをまねてズボンを腰ばきしているというのは間違いだと異論を唱える。
このような条例は、若い黒人男性にさらなる苦しみを与えるのではないかとの批判もあり、Jenkins弁護士は、若い黒人男性層の犯罪歴増加を懸念する。
米国商務省国勢調査部(US Census Bureau)が最近発表したデータによると、2006年の囚人数の41%が黒人だったという。一方、黒人が全人口に占める割合は約12%ほど。
■きちんとした衣服の着用は自尊心向上へ
ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のChad Dion Lassiter社会学教授によると、ズボンの腰ばき禁止の条例化は、若者らの社会的疎外にさらに拍車をかけることになるだろうと指摘する。
一方で同教授は、ズボンを腰ばきする若者に対し、ズボンをきちんと着用するれば自身の助けとなると訴え、「わたしは、彼らが他人に威圧感を与えず、人々に受け入れられるためにズボンをきちんと着用して欲しいのではない。ズボンをきちんと着用すれば、彼らの自分自身に対する見方が改善される。これは自分像に対する問題だ」と説明した。
Jenkins弁護士もこの意見に同意する。また、若い黒人男性らに対しては、条例を必要とするのではなく、自身のために立ち上がるよう訴え、「ズボンをきちんと着用することは、他人に強制されて行うことではなく、自ら行わなければならないことだ」と呼び掛けた。(c)AFP/Karin Zeitvogel
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