2007年9月27日、フランス南西部ボルドー(Bordeaux)地方、サンテミリオン(St Emilion)にあるシャトー・アンジェリュス(Chateau Angelus)で進められるブドウ収穫作業。(c)AFP/PATRICK BERNARD
【10月1日 AFP】フランス南西部ボルドー地方(Bordeaux)のワイン製造業者らは、「今年は変な気候だ」とぼやいている。ボルドー地方ではブドウの収穫が始まったばかりだが、製造業者は一様に、こんな気候はここ15年どころか、20年、いや35年は体験したことがないと口をそろえる。
同地方最大の大学で教鞭をとるワイン専門家のドゥニ・デュブルデュー(Denis Dubourdieu)氏は、今年ほどブドウの開花が早く、完熟が遅いのは35年ぶりだと語る。デュブルデュー氏は複数のシャトーのコンサルタントでもある。
「こんな年はめったにありません。いいブドウがとれるかもしれないし、とれないかもしれない。現段階では何とも言えません。いわゆる気候変動の影響なんでしょうか? あるいは、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領のせいなのか・・・。見当もつきません。あるいは、大西洋気候の異常のせいでしょうか」
主な要因は、もちろん異常気象だろう。まず、4月の近年にない暑さが、ブドウの開花を早めた。5月は例年より涼しく湿度が高かったが、局地的に温暖な日もあり、それが受粉を促進させた。
6月は雨が多く気温も高かったため、うどん粉病がまん延した。そのため多くのシャトーでは、例年ならば4-6回で済む農薬散布を最大13回も行わなければならなかった。サンテミリオン(St Emilion)にあるシャトー・アンジェリュス(Chateau Angelus)など、複数のシャトー・オーナーであるユーベル・ド・ブアール(Hubert de Bouard)氏は、「6-7日おきに薬品散布を行った」と語った。
7月も雨が多かったが、ド・ブアール氏によればこの時期はあまり日照は必要ないという。ただ、雨模様は8月末まで続き、そのためド・ブアール氏は「あと2日、雨が続いたら、十分に熟していない状態でブドウを収穫せざるを得なかった。9月に入って天気が持ち直したのは奇跡だ」と安堵の表情を浮かべた。
ド・ブアール氏もデュブルデュー氏同様、これが気候変動の影響なのかどうか確信は持てないという。「恐らく気候変動のせいではないでしょう。周期的なものだと思います。たとえば1973年と74年は気温が低く、よいブドウがとれませんでした。あのときに比べれば、今年のほうがまだましです」
現段階での見通しとしては、白ワインの作柄には期待が持てそうだが、赤ワインについては何とも言えない状況らしい。赤ワイン用のブドウの収穫は、まだごく一部の畑でしか始まっていない。
ド・ブアール氏は、シャトー・アンジェリュスでメルロー種(Merlot)の収穫を9月末前に開始する予定だという。メルローは比較的早く完熟するタイプだ。一方、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)はそれよりも完熟時期が遅いので、収穫も10月中旬となる。
「今年の作柄は、たぶん英国人向きでしょう。米国人は、より古典的なボルドーの味わい、つまり完熟度の高いワインを好みますから」とド・ブアール氏。
一方で同氏は、「とはいえ、このような気候でもよい作柄が望めるのは、きちんと管理されたブドウ園に限られた話です」と警告する。余分な果実や葉を丁寧に剪定しない一部のブドウ園では、おいしいワインは期待できないようだ。
ボルドーに拠点を置く米カリフォルニア州のワイン輸出業者、ジェフリー・デイビス(Jeffrey Davies)さんも、「今年は特に、果実や葉の剪定が重要になってきます。余分な果実がないほうが、実がしっかり完熟しますから」と指摘する。
だが、フランスのワイン業界に影を落としているのは、異常気象だけではない。
「ユーロ高が大きな影響を及ぼしています」とデイビスさんは嘆く。「2006年ものの支払いを9月に予定しているのですが(ワイン業界ではボトリング前に輸出業者への販売が行われる)、昨今のユーロ高のせいで、米国内の一部のクライアントから注文をキャンセルされる恐れがあります」
デイビスさんは2005年ものの在庫も大量に抱えているという。ただ、それについては、米国の年間ワイン販売量の約6割を占める10-12月を控えており、楽観視できるそうだ。問題は、ユーロ高が影響してくる2006年もの、そして作柄に不安の残る2007年ものだ。
2007年ものの価格についてたずねたところ、ようやくデイビスさんの顔に笑顔が戻った。「どんどん売って、どんどん飲んでもらいましょう。2007年ものはコレクション用ではありませんよ。確かにボルドー地方のワインは世界有数の製品です。しかし、2007年ものについては、価格を抑えて、より買いやすくする必要があります」(c)AFP/Sophie Kevany








