【9月20日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相は19日、英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙のインタビューの中で、トルコの大学構内で禁止されているヘッドスカーフの着用を許可すべきだとの考えを示した。制定作業が進められている新憲法で、イスラム女性の慣習とされているスカーフ着用に対する禁止令が廃止されるかどうか、政教分離を貫いてきたトルコ国内で議論を呼んでいる。

「高等教育を受ける権利を、女性が何を着用するかで制限してはならない。西欧社会だったらまったく問題にならないことが、トルコでは問題となっている。この問題の解決は最優先の政治課題だと思っている」とエルドアン首相は述べた。

 元イスラム主義者であるエルドアン首相は、ヘッドスカーフ着用は個人の自由だと述べ、ヘッドスカーフ着用禁止を廃止していく方向を示した。首相夫人と娘はヘッドスカーフを着用している。

 軍部、法曹関係者、学者らを含む世俗派はヘッドスカーフの着用禁止について、同国の政教分離原則の象徴とみている。着用禁止が緩和されれば、政教分離原則が損なわれ、逆に女性に対し、ヘッドスカーフを着用するよう圧力をかけることになると警戒している。

 特に学界と法曹界の関係者らは、トルコ与党の公正発展党(AKP)が制定準備を進めている新憲法で、ヘッドスカーフ着用禁止を廃止することについて、強い反対を示している。

 最大野党の共和人民党(Republican People’s PartyCHP)は、「新憲法はAKPの憲法であって、トルコのものではない」と非難。AKPが新憲法制定の機会を利用してイスラム思想に沿う立法を進めようとしていると批判している。(c)AFP