【9月8日 AFP】慢性的に住宅が不足している英国では、住宅価格の高騰が続いている。東欧からの移民も急増するこの国に、スウェーデン生まれの格安住宅が上陸した。

■スカンディナビアの国々で人気の組み立て式住宅

 イングランド北東部ニューカッスル(Newcastle)郊外のゲーツヘッド(Gateshead)で建築が始まっているのは、工場から送られてきたパーツを開封して組み立てるスウェーデンの「フラットパック(flat-pack)」方式の格安住宅だ。

 この住宅は、スウェーデンの家具大手のイケア(IKEA)と建設会社のスカンスカ(Skanska)が、スウェーデンの国内市場に手頃な価格の住宅を供給することを目的に、1996年に開発したもの。

 2002年からスカンディナビア半島の国々全体に広がり、すでに3500棟が建設され、さらに毎年1000棟のペースで増加している。そして、この3月、スカンディナビア半島から北海を渡り、英国のゲイツヘッドで正式に建築許可が下りた。

■英国の住宅難民を救うのは、自然にも優しい格安エコ住宅

 毎年22万5000棟の新築住宅を必要としていながら、実際に建設されるのは16万から17万棟にとどまっている英国で、「BoKlok(賢く生きるの意のスウェーデン語)」というコンセプトから生まれた省スペース・高機能のこの住宅は、高騰する家賃に悩む住民でも購入手することが出来るとして、脚光を浴びている。

 1ベッドルーム、2ベッドルーム計36戸から成る、最初の6棟の建築がすでに始まっており、46平方メートル、1ベッドルームの部屋が、10万ポンド(約2300万円)以下という価格で購入できるという。最初の入居は2008年になる見込み。

 建設用のパーツは、イングランド南部ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)でリサイクル素材を用いて製造されている。この家には、ソーラー・パネルと地熱利用装置が設置され、床は寄せ木のフローリング仕上げ。窓ガラスは3重サッシで、断熱性も抜群だという。

 完成した住宅にはフル装備のキッチンとバスルームが付くが、家具はなし。代わりに、イケアで家具が購入できる商品券250ポンド(約5万8000円)分がプレゼントされる。(c)AFP/Elodie Mazein