【8月19日 AFP】クリーニング店に預けたズボンが紛失したのは韓国人移民の経営者のせいとして訴訟を起こし、一度は裁判所から訴えを却下された人物が、あくまで賠償を求め上訴する意志を15日、表明した。

 ロイ・ピアソン(Roy Pearson)さんは、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の判事。2005年、韓国系移民チャン夫妻(Jin and Soo Chung)が経営するクリーニング店「Custom Cleaners」に青と赤のストライプが入ったグレーのズボンを出したところ同店がズボンを紛失。裁判では、店の看板にある「満足保証」の文言に欺かれたと主張した。

 ピアソンさんは同店がコロンビア地区消費者保護法(District of Columbia consumer protection laws)に違反したとして、6700万ドル(約77億8000万円)の損害賠償を求めている。この請求額は、同店がトラブルの後も「満足保証」の看板を掲げ続けた日数に、1日1500ドル(約17万4000円)を掛けて算出している

 2か月前の公判では、ピアソンさんはクリーニング店がズボンを紛失したことを証明できなかったとして訴えが却下されたため、今回、上訴を決意した。

 ピアソンさんの訴えは、当時国内外の嘲笑を浴び、米国訴訟社会の行き過ぎを象徴する出来事と見なされた。チャンさんの主任弁護士は、この裁判を「訴訟好きの米国人の行為の最たるもの」と形容した。

 チャン夫妻側は紛失したズボンに1万2000ドル(約14万円)の賠償金を支払うことを提案したが、ピアソンさんはこれを拒絶した。

 チャン夫妻は、支援者の寄付で裁判費用をまかなったが、その際にかかった計8万ドル(約915万円)をピアソンさんに支払うよう求める要求を最近取り下げたと、ワシントン・ポスト(Washington Post)紙が伝えた。(c)AFP