【8月3日 AFP】汚職に手を染めた政府高官を拷問したり殺害したりするオンラインゲームが中国で大人気を博している。国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)などが2日、伝えた。
 
「腐敗なきファイター(Incorruptible Fighter)」と名付けられたこのゲームは、中国東部の浙江(Zhejiang)省政府が、汚職の危険性を社会に認知させるため立ち上げたもの。1週間ほど前にスタートしたが、大人気となったことから、現在より多くのプレーヤーが参加できるように改良中だという。

 ゲーム・プレーヤーが次のレベルに進むには「反汚職学校」に入学する必要があり、そこで古典的な事例について詳しく学ぶ。汚職役人だけでなく、その息子や娘への拷問や殺害も得点になる。プレーヤーは、決められた数の汚職官僚を罰してステージをクリアすると、「汚職のない楽園」に入ることができる。

 ゲームの中で展開されるさまざまなストーリーは、中国の有名な史実に基づいているが、汚職が横行する現代の中国社会を意識しているのは明白。

 このゲームを立ち上げた政府当局者は、「ゲームを楽しむだけではなく、汚職と戦うことや、中国の歴史、民話などを学んでほしい」と説明している。

 このゲームに参加したあるプレーヤーは、「たくさんの腐敗官僚に罰を与えると、大きな達成感を感じる」と述べているが、その一方で、このゲームは正しい相手を対象にしているのかと疑問を呈する専門家もいる。その一人である北京大学(Peking University)のWang Xiongjun教授は、「汚職防止の教育を受けなければいけないのは、地方の若者ではなく、政府官僚の方だ」と指摘した。(c)AFP